このツールでできること
このツールは、グレイ(Gy)で表した吸収線量を、シーベルト(Sv)で表した等価線量に換算します。グレイは物理量であり、1 Gy は組織1キログラムあたり1ジュールのエネルギーが吸収されたことを意味します。一方シーベルトは「防護量」と呼ばれ、放射線の種類ごとに生物学的な影響度の大きさを反映して吸収線量を補正したものです。換算には、ICRP Publication 103(2007年)が勧告する放射線加重係数を用います。
計算式
等価線量は $$H = D \times w_R$$ で求めます。ここで \(D\) はグレイ(Gy)で表した吸収線量、\(w_R\) は無次元の放射線加重係数です。光子(X線・ガンマ線)、電子(ベータ線)、ミュー粒子はいずれも \(w_R = 1\) なので、これらの放射線では 1 Gy がそのまま 1 Sv になります。陽子と荷電パイ中間子は \(w_R = 2\)、アルファ粒子・核分裂片・重イオンは \(w_R = 20\) です。中性子については、中性子エネルギー \(E_n\)(MeV単位)に応じて連続的に変化する関数を用います。
注意:このツールが算出するのは等価線量のみです。全身にわたる実効線量を求めるには、これに加えて各臓器ごとの組織加重係数(\(w_T\)、全身で合計が1になる)を適用する必要があり、単一換算ツールの範囲を超えます。
使い方
放射線の種類を選び、吸収線量をグレイ(Gy)で入力すると、等価線量がシーベルト(Sv)で表示されます。中性子の場合は、中性子エネルギーをMeV単位で入力してください。使用したい加重係数があらかじめ分かっている場合は、任意入力欄に直接入力すると、その値がそのまま使われます。
計算例
たとえばアルファ粒子で 0.5 Gy が与えられたとします。アルファ粒子は \(w_R = 20\) なので、等価線量は $$0.5 \times 20 = 10\ \text{Sv}$$ となります。ガンマ線 2 Gy(\(w_R = 1\))の場合は、等価線量はそのまま 2 Sv です。
よくある質問
なぜ 1 Gy は必ずしも 1 Sv にならないのですか? 1 Gy = 1 Sv となるのは \(w_R = 1\) の放射線(光子・電子・ミュー粒子)だけです。アルファ粒子や中性子のような高LET放射線は、同じ1グレイあたりでも生物学的な損傷が大きいため、等価線量はより大きくなります。
中性子のエネルギーは何を入力すればよいですか? 中性子のエネルギーをMeV単位で入力します。ICRP 2007年の曲線では、\(w_R\) は 1 MeV 付近で最大(約20)となり、非常に低いエネルギーと非常に高いエネルギーでは小さくなります。
これは実効線量ですか? いいえ。これは等価線量です。実効線量を求めるには、さらに臓器ごとの組織加重係数が必要になります。