この計算ツールでできること
これは江戸時代(1603〜1868年)の歴史・文化にまつわる計算ツールです。知行地(領地)を持たず、米で俸禄を支給された「切米取り(蔵米取り)」と呼ばれる武士の俸禄を、俵数と石高の両方で表した合計値に換算します。こうした武士は「三十俵二人扶持(さんじゅっぴょう ににんぶち)」のように表されました。これは切米としての俵数に加え、定められた人数分の毎日の扶持米(食料手当)が支給されていたことを意味します。
知っておきたい歴史的な単位
石(こく)は米の量を表す基本単位であり、俸禄の格を示す単位でもあります。一石はおよそ150kgにあたり、金銭換算ではおおむね一両(金貨一枚)として扱われました。俵(ひょう)は米の入った袋ですが、一俵あたりの石高は全国一律ではありませんでした。江戸では俸禄用の俵を、百俵あたり35石または40石(一俵あたり0.35石または0.40石)として計算しました。扶持(ふち)は毎日の米の支給分で、一人扶持は一日五合。一年を360日として計算すると、年間1,800合=1.8石が一人あたりの扶持となります。
使い方
まず俵から石への換算基準を選びます(40石の方式が一般的な初期設定です)。次に切米の俵数を入力し、続いて男・女それぞれの扶持人数を入力します。記録に忠実であるため男女の欄は分けていますが、いずれも一人あたり年1.8石という同じ基準で計算します。ツールは合計を石高で表示し、同じ量を俵数に換算した値もあわせて表示します。
$$\text{Total Koku} = \text{Bales} \times 0.40 + \left(\text{Male} + \text{Female}\right) \times 1.8$$$$\text{where}\quad \left\{ \begin{aligned} \text{koku per bale} &= \tfrac{400}{1000} = 0.40 \\ \text{koku per ration} &= 1.8 \text{ /person/year} \end{aligned} \right.$$計算例
「三十俵二人扶持」を40石方式で計算する場合:切米=\(30 \times 0.40 = 12.0\)石、扶持=\(2 \times 1.8 = 3.6\)石、合計=\(15.6\)石。これを0.40で割ると\(39.0\)俵になります。一石=一両として換算すると、年間およそ15〜16両にあたります。下級武士である「三一侍(さんぴんざむらい)」は、わずか三両一人扶持しか得られなかったことで知られています。
よくある質問
なぜ俵の換算方式が2種類あるのですか? 江戸時代の各藩は全国共通の俵の大きさを用いていませんでした。百俵あたり35石と40石のいずれもよく使われた方式であるため、史料の記録に合わせて選べるようにしています。
女性も本当に同じ扶持を受け取っていたのですか? 歴史的には女性の扶持はより少ない場合もありましたが、本ツールでは忠実な再現として男女とも一人あたり年1.8石を適用しています。男女の区別は記録上の項目として残しているにすぎません。
両への換算は正確ですか? いいえ。一石=約一両というのはあくまで金貨換算のおおよその目安であり、正確な交換比率ではありません。