このツールでできること
この「簡易マニュアルJ」計算ツールは、住宅や部屋の冷暖房負荷をBTU/h(1時間あたりのBTU)でざっくり概算するためのものです。米国で広く使われているACCAの「マニュアルJ(Manual J)」方式を参考にした、目安計算用の簡易版です。本来のマニュアルJでは、断熱性能(R値)、ダクトの損失、すき間風(換気・浸入空気)、建物の方位、地域ごとの設計温度などを細かく考慮しますが、このツールはそれらを大幅に簡略化し、空調業者に相談する前のおおまかな機器サイズ感をすばやくつかめるようにしています。
使い方
空調をかける床面積を平方フィート(sq ft)で入力し、お住まいの地域に最も近い気候の厳しさを選びます。続いて窓の数と、ふだん室内にいる人数を入力してください。計算ツールは、床面積に気候係数を掛けた値に、窓からの熱取得(1枚あたり約1,000 BTU/h)と人体からの発熱(1人あたり約600 BTU/h)を加算します。合計はBTU/hで表示され、機器のスペックと比べやすいように「トン(ton)」換算(1トン=12,000 BTU/h)でも示されます。
計算式の解説
計算モデルは次のとおりです:
$$\text{BTU} = (\text{床面積} \times \text{気候係数}) + (\text{窓の数} \times 1000) + (\text{人数} \times 600)$$気候係数は、温暖な沿岸部の約20 BTU/sq ftから、極端な砂漠地帯や極北の地域では50 BTU/sq ftまで幅があります。窓は日射による熱取得や熱の出入りが大きく、人もそれぞれ代謝による熱を発するため、いずれも建物本体(外皮)の基本負荷に上乗せして計算します。
計算例
温暖な気候(係数30)にある1,500 sq ftの住宅で、窓が10枚、居住者が3人の場合:基本負荷=
$$1500 \times 30 = 45{,}000 \text{ BTU/h}$$窓の負荷=
$$10 \times 1000 = 10{,}000 \text{ BTU/h}$$人体の負荷=
$$3 \times 600 = 1{,}800 \text{ BTU/h}$$合計=56,800 BTU/h(約4.73トン)となります。
よくある質問
これは本格的なマニュアルJの代わりになりますか? いいえ。あくまで初期検討用としてお使いください。機器を購入する前には、認定を受けた業者に正式なマニュアルJ計算を依頼してください。
「トン(ton)」とは何ですか? 空調能力の単位で、12,000 BTU/hに相当します。もともとは「1日に1トンの氷を溶かす冷却能力」に由来します。
米国以外でも使えますか? 気候係数やBTU・トンといった単位は米国/ACCAの慣行に基づいています。日本をはじめ他の地域では、能力をkW(キロワット)で表すのが一般的です(\(1 \text{ kW} \approx 3{,}412 \text{ BTU/h}\)、家庭用エアコンの「畳数の目安」や「kW表示」とは考え方が異なる点にご注意ください)。