この計算機でできること
この計算機は、目標とするパワーを支えるために必要なインジェクター容量(lb/hr:1時間あたりのポンド数)を推定します。エンジンを組む、ターボ化する、インジェクターを交換するといったプランを立てるとき、車好きの方やチューナー、整備士にとって役立つツールです。噴射量を出力に合わせることで、ピーク時に空燃比が薄くなりすぎる(エンジンを傷める原因になります)のを防ぎつつ、容量が大きすぎてアイドリングや低負荷時の燃調がコントロールしにくくなる事態も避けられます。
入力する項目
- エンジン排気量(cc)=エンジンの総排気量です。参考値として記録されますが、インジェクター容量の計算そのものは出力・気筒数・燃圧によって決まります。
- 気筒数=何本のインジェクターで燃料供給量を分担するかを表します。気筒数が多いほど、1本あたりの噴射量は少なくなります。
- 最高出力=目標とするクランク軸でのピークパワーです。
- 燃圧(PSI)=フューエルレールの圧力です。インジェクターは基準圧力(ここでは一般的な3バール規格=43.5 PSI)で容量が表示されるため、計算機が実際の燃圧に合わせて補正します。
計算式の解説
計算は2つのステップで進みます。まず、インジェクター1本あたりが供給すべき噴射量を求めます。
- 1本あたりの噴射量 =(馬力 × 0.07 × 60)÷ 気筒数
「0.07」は自然吸気ガソリンエンジンで一般的とされる正味燃料消費率(BSFC)を仮定した値で、「× 60」は1時間あたりの値に換算するためのものです。続いて、この結果を燃圧と目標デューティ比に合わせて補正します。
- インジェクター容量 =(噴射量 × √(43.5 ÷ 燃圧))÷ 0.8
平方根の項は、基準の43.5 PSIで表示された容量を実際の燃圧に合わせて再計算するものです。さらに0.8で割ることで、最大デューティ比80%の余裕を持たせ、全負荷時でもインジェクターが上限まで使い切られない設計にしています。
計算例
排気量2000cc・4気筒のエンジンで、燃圧43.5 PSI、目標300馬力を狙う場合を考えてみましょう。
- 1本あたりの噴射量 =(300 × 0.07 × 60)÷ 4 = 315 \(\;\Rightarrow\; \dfrac{300 \times 0.07 \times 60}{4} = 315\)
- 燃圧係数 = √(43.5 ÷ 43.5) = 1 \(\;\Rightarrow\; \sqrt{\dfrac{43.5}{43.5}} = 1\)
- インジェクター容量 =(315 × 1)÷ 0.8 ≈ 394 lb/hr \(\;\Rightarrow\; \dfrac{315 \times 1}{0.8} \approx 394\)
これは、その燃圧で目標出力を達成するために、選ぶインジェクターが満たすべき(またはそれ以上であるべき)噴射量の目安を示しています。
よくある質問
なぜ燃圧が重要なのですか? インジェクターは燃圧が高いほど多く噴射できます。43.5 PSIより高い燃圧では同じインジェクターでも噴射量が増えるため、計算機は必要な定格容量を小さく見積もります。逆に燃圧が低いと必要容量は大きくなります。
排気量は結果に影響しますか? 排気量はエンジン仕様の一部として記録されますが、ここでのインジェクター容量の算出は、出力・気筒数・燃圧・デューティ比によって決まります。
計算結果は切り上げて選ぶべきですか? はい。常に計算値と同等以上の定格容量を持つインジェクターを選びましょう。将来のパワーアップに備えた余裕と、燃調の安定性を確保できます。