比湿とは?
比湿(q)とは、ある空気塊に含まれる湿潤空気の全質量に対する水蒸気の質量の比を表す値です。相対湿度とは異なり、(凝結が起こらない限り)空気を加熱・冷却しても変化しないため、気象学・空調(HVAC)設計・大気科学などの分野で安定した指標として重宝されています。単位は「湿潤空気1キログラムあたりの水蒸気のキログラム数(kg/kg)」、あるいはより扱いやすい「グラム毎キログラム(g/kg)」で表すのが一般的です。
このツールの使い方
水蒸気圧 \(e\) と全気圧 \(p\) を同じ単位で入力してください(本ツールではミリバールと等しいヘクトパスカル hPa を使用します)。比湿が g/kg と kg/kg の両方で表示されます。\(e\) を求めるには、その気温における飽和水蒸気圧に相対湿度(小数)を掛ければ算出できます。
計算式の解説
用いる計算式は次のとおりです。
$$q = \frac{0.622 \cdot e}{p - 0.378 \cdot e}$$
定数 0.622 は、水の分子量(約18.02 g/mol)と乾燥空気の分子量(約28.96 g/mol)の比を表します。分母にある \(0.378 = 1 - 0.622\) の項は、水蒸気が乾燥空気を押しのける効果を補正するためのものです。これにより、より単純な混合比の近似ではなく、本来の比湿が正しく求められます。
計算例
たとえば、水蒸気圧が \(e = 20\) hPa、全気圧が \(p = 1013.25\) hPa の場合を考えます。分母は $$1013.25 - 0.378 \times 20 = 1013.25 - 7.56 = 1005.69$$ となります。分子は \(0.622 \times 20 = 12.44\) です。したがって、$$q = \frac{12.44}{1005.69} \approx 0.012370 \ \text{kg/kg}$$ すなわち約 12.37 g/kg となります。
よくある質問(FAQ)
比湿は混合比と同じですか? いいえ、異なります。混合比は乾燥空気の質量に対する水蒸気の質量比であるのに対し、比湿は湿潤空気の質量に対する水蒸気の質量比です。通常の大気条件では数値はほぼ近くなりますが、定義は別物です。
どの単位を使えばよいですか? \(e\) と \(p\) には同じ圧力単位を使ってください。比は無次元になるため、得られる比湿は単位に依存しない値(kg/kg)となり、一般的に g/kg にスケーリングして表します。
なぜ比湿は温度に対して安定しているのですか? 比湿は質量比だからです。水を加えたり取り除いたりせずに空気を加熱すると、体積や相対湿度は変化しますが、水蒸気と空気の質量自体は一定のままです。そのため \(q\) は変わりません。