ウォーターハンマー(水撃)とは?
ウォーターハンマー(水撃現象)とは、流れている流体が急に止められたり方向を変えられたりしたときに、配管内を伝わる圧力サージ(衝撃波)のことです。たとえばバルブを急に閉めたときや、ポンプが急停止したときに発生します。流体の運動量が圧力の急上昇へと変換され、その値は通常の運転圧力の何倍にもなることがあります。その結果、配管が破裂したり、バルブが損傷したり、配管系全体が激しく振動したりする恐れがあります。この計算ツールは、古典的なジューコフスキーの式を用いて、そのサージ圧の大きさを推定します。
この計算ツールの使い方
次の3つの値を入力します。流体密度(水の場合は約1000 kg/m³)、圧力波速度 \(c\)(流体と配管からなる系の中を衝撃波が伝わる速さで、鋼管内の水ではおおむね1000〜1400 m/s)、そして流速変化 \(\Delta v\)(初期流速と最終流速の差。バルブを瞬時に閉める場合は通常、管内流速そのものが該当します)。これらを入力すると、ピークの圧力サージがパスカル(Pa)、キロパスカル(kPa)、バール(bar)、psiで表示されます。
計算式の解説
ジューコフスキーの式は $$\Delta P = \text{Density } \rho \cdot \text{Wave Speed } c \cdot \left| \Delta v \right|$$ です。この式は、バルブが瞬間的に閉じられる(配管の臨界時間 \(2L/c\) よりも速く閉じる)ことを前提としています。サージ圧は配管長には依存せず、密度・波速度・流速変化の大きさのみで決まります。バルブをゆっくり閉じればサージは小さくなるため、この式は安全側に立った最悪ケースの推定値を与えます。
計算例
水(\(\rho = 1000\) kg/m³)が2 m/sで流れていて、これを瞬時に停止させたとします。波速度を1200 m/sとすると、$$\Delta P = 1000 \times 1200 \times 2 = 2{,}400{,}000 \text{ Pa} = 2400 \text{ kPa} = 24 \text{ bar} \approx 348 \text{ psi}$$ となります。このサージ圧は、配管の静圧に上乗せされる形で加わります。
よくある質問(FAQ)
配管の長さは関係しますか? ジューコフスキーの式におけるピークサージには影響しません。ただし配管長は臨界閉鎖時間 \(2L/c\) を決める要素であり、配管が長いほどバルブをゆっくり閉じるための時間的余裕が大きくなります。
波速度はどの値を使えばよいですか? 剛体配管内の水では約1480 m/sですが、実際の弾性のある配管では値が下がります。鋼管では1000〜1300 m/s、樹脂管では300〜500 m/s程度が目安です。
ウォーターハンマーを抑えるには? バルブをゆっくり閉じる、サージタンクやエアチャンバーを設置する、圧力逃がし弁(リリーフ弁)を取り付ける、波速度の低い配管材を選ぶ、といった対策が有効です。