光ファイバー損失バジェットとは?
光ファイバーの損失バジェット(光パワーバジェット、リンクバジェットとも呼ばれます)とは、ファイバーリンク上で発生するすべての信号減衰を合計し、送信機が供給できる光パワーと比較するための考え方です。総損失が利用可能なパワーバジェットを上回ると、受信側に十分な強さの信号が届かず、リンクが成立しなかったり、ビットエラーが発生したりします。dBによる損失計算は物理法則そのものなので、この計算機はファイバーの種類や国・地域を問わず利用できます。
この計算機の使い方
まずケーブル長(km)とファイバーの減衰係数を入力します。シングルモードの代表値は1310 nmで約0.35 dB/km、1550 nmで約0.22 dB/km、マルチモードはこれより大きくなります。次にコネクタの本数と1か所あたりの損失(一般に0.3〜0.75 dB程度)、続いて融着接続の箇所数と1か所あたりの損失(おおむね0.1 dB程度)を入力してください。さらに送信機の出力パワーと受信機の受光感度をdBmで入力すれば、利用可能なバジェットと残りのリンクマージンも確認できます。
計算式の解説
総損失は次のとおり、いたってシンプルです。損失=(距離 × ファイバーのdB/km)+(コネクタ数 × dB)+(融着接続数 × dB)。
$$\text{Margin} = (\text{Tx Power} - \text{Rx Sensitivity}) - L_{\text{total}}$$ $$\text{where}\quad \left\{ \begin{aligned} L_{\text{total}} &= \text{Length} \cdot \text{Fiber Att.} \\ &\quad + \text{Connectors} \cdot \text{Loss/Conn.} \\ &\quad + \text{Splices} \cdot \text{Loss/Splice} \end{aligned} \right.$$利用可能なパワーバジェットは「送信機出力 − 受信感度」で求められます。リンクマージンは「利用可能バジェット − 総損失」です。経年劣化や補修、温度変化への余裕を見込み、エンジニアは通常、最低でも3 dB以上のプラスのマージンを確保します。
計算例
10 kmのシングルモード区間を0.35 dB/kmで計算すると、ファイバー損失は3.5 dBになります。コネクタ4本を各0.5 dBとすると2.0 dB、融着接続2か所を各0.1 dBとすると0.2 dBが加算されます。総損失=\(3.5 + 2.0 + 0.2 = 5.7\) dBです。送信機出力が0 dBm、受信感度が−23 dBmなら利用可能バジェットは23 dBとなり、\(23 - 5.7 = 17.3\) dBという十分なマージンが残ります。
よくある質問(FAQ)
適切なリンクマージンの目安は? 将来の融着接続の追加や部品の劣化を見込み、ゼロより最低でも3 dB以上の余裕を確保するのが目安です。
マージンがマイナスになるのはなぜ? 総損失が光デバイスの供給能力を上回っている状態です。低損失ファイバーへの変更、コネクタ数の削減、出力の高い送信機、より高感度の受信機などで改善できます。
コネクタはそれほど大きく影響しますか? はい。短距離リンクではコネクタや融着接続の損失がバジェットの大半を占めることもあるため、嵌合する箇所はすべて漏れなく数えましょう。