PoE電力バジェット計算ツールとは?
PoE(Power over Ethernet)対応スイッチは、1本のLANケーブルで電力とデータの両方を供給します。どのスイッチにも上限となるPoE電力バジェットがあり、これは全ポートへ同時に供給できる合計ワット数を指します。この計算ツールでは、設定したバジェットでネットワークカメラ・無線アクセスポイント・IP電話などのPoE機器を何台まで給電できるか、さらに導入予定の構成でどれだけ余裕(ヘッドルーム)が残るかが一目で分かります。
使い方
まず、お使いのスイッチのPoE電力バジェット(合計ワット数)を入力します。値はデータシートに記載されています(例:370 W)。次に、接続する機器に合ったIEEE PoEクラスを選ぶか、クラスを上書きして1台あたりの消費電力を直接入力します。接続予定の台数を入力すれば、総消費電力・残りバジェット・使用率(利用率)も合わせて確認できます。
計算式の解説
最大接続台数は、バジェットを1台あたりの消費電力で割るだけです。機器を「何分の一台」だけ給電することはできないため、端数は切り捨てます。
$$\text{最大接続台数} = \left\lfloor \frac{\text{スイッチのバジェット}}{\text{1台あたりの消費電力}} \right\rfloor$$
標準的なPoEクラスごとの上限(受電機器側で利用できる電力)の目安は次のとおりです。クラス1=3.84 W、クラス2=6.49 W、クラス3=13 W(802.3af)、クラス4/PoE+=25.5 W(802.3at)、クラス6=51 W、クラス8=71.3 W(802.3bt)。クラスの上限値で計算すると、ワーストケースを想定した安全側の見積もりになります。
計算例
あるスイッチがPoEバジェット370 Wをうたっているとします。これを使って、1台あたり25.5 WのPoE+対応アクセスポイントに給電したいとしましょう。最大接続台数 $$= \left\lfloor 370 \div 25.5 \right\rfloor = \lfloor 14.5 \rfloor = \textbf{14台}$$ です。仮に12台を接続する計画なら、総消費電力は \(12 \times 25.5 = 306\ \text{W}\)、残りのヘッドルームは64 W、使用率は82.7%となります。
よくある質問
クラス電力と実測電力のどちらを使うべき? クラス電力はワーストケースの最大値で、安全側に計画できます。機器の実際の平均消費電力が分かっている場合は、カスタム欄に入力すると、より実態に近いシビアな見積もりが可能です。
なぜ切り捨てるの? スイッチは1台分をまるごと給電できるだけで、最後に残る「半端な1枠」にはバジェットが足りません。その結果、ポートへの給電が拒否されることがあるためです。
ケーブルの長さは影響する? はい。長距離の配線では熱として電力が失われるため、機器に届く電力はポートが送り出す電力より少なくなります。本ツールのクラス値は、一般的な100 mの配線における機器側での受電電力をすでに反映しています。