等電点とは?
等電点(pI)とは、分子全体の正味の電荷がゼロになるpHのことです。対象となるのは主にアミノ酸・ペプチド・タンパク質などで、このpHでは正電荷と負電荷がちょうど釣り合うため、分子は電場の中で移動しなくなります。等電点は生化学の基礎的な指標であり、タンパク質の精製(等電点電気泳動)やクロマトグラフィーなど、幅広い場面で活用されています。
このツールの使い方
分子の中性形を挟む2つのpKa値を入力してください。イオン化する側鎖を持たない単純なアミノ酸の場合は、カルボキシル基のpKa(pKa1:より酸性側)とアミノ基のpKa(pKa2:より塩基性側)がこれにあたります。2つの値の算術平均として、pIがその場で表示されます。
計算式の意味
中性の双性イオン(ツビッターイオン)は、2つの荷電状態のちょうど中間に存在します。下側のpKa(pKa1)は+1状態からプロトンが1つ外れる過程を、上側のpKa(pKa2)は中性状態からさらにプロトンが外れて−1状態になる過程を支配します。+1の分子と−1の分子が同数になる、つまり正味の電荷がゼロになるpHは、両者の単純な平均値で求められます:
$$\text{pI} = \dfrac{\text{pKa}_1 + \text{pKa}_2}{2}$$
計算例
グリシンの場合、pKa1(COOH)≈ 2.34、pKa2(NH3+)≈ 9.60 です。等電点は
$$\text{pI} = \dfrac{2.34 + 9.60}{2} = \dfrac{11.94}{2} = \mathbf{5.97}$$となります。これはグリシンについてよく知られた実験値ともよく一致します。
よくある質問
どの2つのpKa値を使えばよいですか? 正味の電荷がゼロになる中性形を挟む2つのpKa値を使います。イオン化する側鎖を持つアミノ酸の場合は、中性形を囲む2つのpKa値を選んでください。
タンパク質にも使えますか? この2つのpKaを平均する単純な方法が使えるのは、荷電した側鎖を持たない小分子やアミノ酸の場合です。タンパク質全体を扱うには、すべてのイオン化基の寄与を合算して計算する必要があります。
pIから何がわかりますか? pIは、その分子が最も溶けにくくなり、かつ電場中で移動しなくなるpHを示します。沈殿や等電点電気泳動などに役立つ重要な指標です。