回収率とは?
回収率(percent recovery)とは、再結晶・ろ過・抽出・クロマトグラフィーといった精製操作のあとに、目的物をどれだけ取り戻せたかを示す指標です。回収した精製物の質量を、操作前に用意した質量と比べ、パーセントで表します。回収率が高ければ、ロスが少なく効率的に精製できたことを意味します。一方、数値が低い場合は、副反応や操作中の取りこぼし、母液への溶け込みなどによる損失が生じているサインです。
このツールの使い方
入力するのは2つの値だけです。操作後に回収した質量と、操作前に用意した仕込み量を、いずれも同じ単位(ここではグラム。一貫していれば他の単位でも構いません)で入力してください。ツールが回収した質量を仕込み量で割り、100を掛けて回収率を算出するとともに、操作中に失われた質量も表示します。
計算式の解説
基本となる式は次のとおりです。
$$\text{回収率} = \frac{\text{回収した質量}}{\text{仕込み量}} \times 100\%$$同じ種類の量の比なので単位は打ち消し合い、両方の数値が同じ単位であれば、グラム・ミリグラム・モルのいずれを使っても構いません。100%を超える値が出た場合は、実際に生成物が増えたわけではなく、溶媒の残留・不純物の混入・秤量ミスが原因であることがほとんどです。
計算例
たとえば、粗生成物 1.50 g から再結晶を始め、精製した結晶 1.20 g を回収できたとします。
$$\text{回収率} = \frac{1.20}{1.50} \times 100 = 80\%$$となり、損失は 0.30 g です。これは1回の再結晶としては一般的で、十分に良好な回収率といえます。
よくある質問
回収率と収率(percent yield)は同じものですか? いいえ、違います。収率は、反応から理論的に得られる最大量に対して、実際に得られた生成物がどれだけかを比べる指標です。これに対し回収率は、精製操作で「入れた量」に対して「取り戻せた量」を比べるもので、化学反応は伴いません。
回収率が100%を超えることはありますか? 計算上はあり得ますが、実際には乾燥が不十分で溶媒が残っている、または不純物が混入していることを示します。試料を十分に乾燥させてから、もう一度秤量し直しましょう。
どのくらいの回収率なら良いといえますか? 手法によって異なりますが、再結晶では60〜90%が一般的です。精製を複数回繰り返すと損失が積み重なり、全体としての回収率は下がっていきます。