この計算ツールでできること
強い一価の酸(塩酸HClなど)と強い一価の塩基(水酸化ナトリウムNaOHなど)を混ぜると、両者は1:1のモル比で中和します。本ツールは、どちらの反応物が過剰になるか、中和後にどれだけ残るかを求めて、生じた溶液のpHを計算します。計算は、酸・塩基ともに完全に電離すること、一価の酸・塩基であること、温度補正を行わないこと、そして混合後の体積が単純に加算されること(体積の加成性)を前提としています。
使い方
まず酸の濃度(Ca)と体積(Va)を入力し、続いて塩基の濃度(Cb)と体積(Vb)を入力します。計算ツールはそれぞれのモル数を求め、大きいほうから小さいほうを引いて過剰分を算出します。その過剰分を合計体積で割って残ったイオンの濃度を求め、それをpHに変換します。
計算式の解説
酸のモル数=\(\text{Ca} \times \text{Va}\)、塩基のモル数=\(\text{Cb} \times \text{Vb}\)です。過剰モル数=\(|\text{Ca}\cdot\text{Va} - \text{Cb}\cdot\text{Vb}|\) で求められます。この過剰分を合計体積(\(\text{Va} + \text{Vb}\))で割ると、残ったイオンのモル濃度が得られます。酸が過剰な場合、これは[H⁺]となり、 $$\text{pH} = -\log_{10}[\text{H}^+]$$ です。塩基が過剰な場合は[OH⁻]となるので、\(\text{pOH} = -\log_{10}[\text{OH}^-]\) を求め、\(\text{pH} = 14 - \text{pOH}\) とします。両者がちょうど等しい場合、溶液は中性(25℃でpH7)になります。
計算例
0.1 mol/Lの塩酸HClを0.05 L、0.05 mol/Lの水酸化ナトリウムNaOHを0.05 L混合する場合を考えます。酸のモル数=0.005、塩基のモル数=0.0025です。過剰分はH⁺が0.0025 mol。合計体積=0.1 Lなので、 $$[\text{H}^+] = 0.025 \ \text{mol/L}$$ となります。 $$\text{pH} = -\log_{10}(0.025) = 1.602$$ この溶液は酸性です。
よくある質問
弱酸や弱塩基にも使えますか? いいえ。弱酸・弱塩基は部分的にしか電離せず、それぞれのKa/Kbと緩衝計算が必要になります。本ツールは強酸と強塩基のみを対象としています。
酸と塩基がちょうど中和した場合は? pHは7になります。25℃では水と中性の塩しか残らないためです。
なぜ合計体積で割るのですか? 2つの溶液を混ぜると全体が希釈されるため、残ったイオンは合計体積(\(\text{Va} + \text{Vb}\))全体に広がります。だからこそ合計体積で割る必要があります。