理想変圧器とは?
理想変圧器とは、実際の変圧器(トランス)を損失ゼロとして単純化したモデルです。すべての磁束が一次・二次の両巻線に完全に鎖交し、巻線抵抗・漏れ磁束・鉄損がいっさい生じないと仮定します。この前提のもとでは入力電力と出力電力が等しくなり、電圧と電流はそれぞれの巻線の巻数の比だけで決まります。本ツールは、この基本となる変圧器の関係式から、二次電圧・巻数比・二次電流を計算します。
使い方
一次電圧(Vp)、一次巻数(Np)、二次巻数(Ns)を入力します。二次電流も求めたい場合は、一次電流(Ip)を任意で入力してください。「計算」を押すと、二次電圧、巻数比 \(\frac{\text{Np}}{\text{Ns}}\)、二次電流 \(I_s\) が表示されます。
計算式の解説
基本となる関係式は \(\frac{\text{Vp}}{V_s} = \frac{\text{Np}}{\text{Ns}} = \frac{I_s}{\text{Ip}}\) です。電圧は巻数に比例して変化します。二次側の巻数が多いほど電圧は高くなり(昇圧)、巻数が少ないほど電圧は低くなります(降圧)。一方、電力(\(V \times I\))が保存されるため、電流は電圧とは逆方向に変化します。したがって次のようになります。
$$V_s = \text{Vp} \cdot \frac{\text{Ns}}{\text{Np}}$$また
$$I_s = \text{Ip} \cdot \frac{\text{Np}}{\text{Ns}}$$
計算例
120 V の電源を、\(\text{Np} = 100\)、\(\text{Ns} = 50\) の変圧器につなぎ、一次側に \(\text{Ip} = 2\ \text{A}\) が流れているとします。巻数比は \(\frac{100}{50} = 2\) です。二次電圧は $$120 \times \frac{50}{100} = 60\ \text{V}$$ となり、降圧されています。二次電流は $$2 \times \frac{100}{50} = 4\ \text{A}$$ です。一次側の電力 \(120 \times 2 = 240\ \text{W}\) が、二次側の電力 \(60 \times 4 = 240\ \text{W}\) と一致している点に注目してください。これは理想変圧器として当然の結果です。
よくある質問
実際の変圧器にも使えますか? 本ツールは損失のない理想モデルを用いています。実際の変圧器では銅損や鉄損により効率が100%未満となるため、実際の出力はこの計算値よりわずかに低くなります。
巻数比とは何を表しますか? 巻数比 \(\frac{\text{Np}}{\text{Ns}}\) が1より大きい場合は降圧変圧器、1より小さい場合は昇圧変圧器であることを意味します。
電圧が下がると、なぜ電流が上がるのですか? 電力が保存されるためです。電圧をある倍率で下げると、電流は同じ倍率で上がります。