Kspから求めるモル溶解度とは?
溶解度積定数(Ksp)は、難溶性のイオン性固体と、溶け出したイオンとの間の平衡を表す指標です。モル溶解度(s)とは、飽和溶液1リットルあたりに溶解する塩の物質量(mol)を指します。この計算ツールでは、一般式 AaBb で表される塩について、既知のKspからモル溶解度を求めます。この塩は \( \text{A}_a\text{B}_b \rightleftharpoons a\,\text{A} + b\,\text{B} \) のように電離します。
計算ツールの使い方
まずKspの値を入力します(3.9e-11 のような指数表記も使用できます)。続いて、陽イオンの化学量論係数(a)と陰イオンの化学量論係数(b)を入力してください。例えば、AgCl では a = 1、b = 1、CaF₂ では a = 1、b = 2、Ag₂CrO₄ では a = 2、b = 1 となります。ツールはモル溶解度に加えて、各イオンの平衡濃度も表示します。
計算式の解説
飽和状態では、\( [\text{A}] = a \cdot s \)、\( [\text{B}] = b \cdot s \) が成り立ちます。これを平衡式 \( \text{Ksp} = [\text{A}]^{a}[\text{B}]^{b} \) に代入すると、\( \text{Ksp} = (a \cdot s)^{a}(b \cdot s)^{b} = a^{a}b^{b} \cdot s^{(a+b)} \) となります。これを s について解くと、次の式が得られます。
$$s = \left( \frac{\text{Ksp}}{a^{a} \cdot b^{b}} \right)^{\frac{1}{a + b}}$$
計算例
フッ化カルシウム CaF₂ の場合、\( \text{Ksp} = 3.9 \times 10^{-11} \)、a = 1、b = 2 です。\( a^{a}b^{b} = 1^{1} \cdot 2^{2} = 4 \) となるので、$$s = \left( \frac{3.9 \times 10^{-11}}{4} \right)^{\frac{1}{3}} = \left( 9.75 \times 10^{-12} \right)^{\frac{1}{3}} \approx 2.14 \times 10^{-4} \ \text{mol/L}$$ と求められます。フッ化物イオンの濃度は \( 2s \approx 4.28 \times 10^{-4} \ \text{mol/L} \) です。
よくある質問(FAQ)
AgCl のような1:1型の塩でも使えますか? はい、使えます。a = b = 1 のとき、式は \( s = \sqrt{\text{Ksp}} \) に簡略化されます。
sの単位は何ですか? モル溶解度の単位は1リットルあたりのモル数(mol/L)です。グラム毎リットルに換算するには、モル質量を掛けてください。
共通イオン効果や活量係数は考慮されますか? いいえ。この計算では、塩が純水に溶解し、理想的な挙動(活量=1)を示し、共通イオンが存在しないことを前提としています。