合理式とは?
合理式(ラショナル法)は、比較的小さな流域(一般的に200エーカー/80ヘクタール未満)からのピーク流出量を求める手法として、土木工学や雨水排水設計で最も広く使われている計算方法です。ピーク流出量 Q を、無次元の流出係数 C、降雨強度 i、流域面積 A の3つの値と、\(Q = C \cdot i \cdot A\) というシンプルな関係式で結びつけます。
計算ツールの使い方
まず単位系を選び、続いて3つの値を入力します。米国式(US単位)では、i をインチ毎時(in/hr)、A をエーカー(acres)で入力すると、換算係数がほぼ 1.008 であるため、Q が立方フィート毎秒(cfs)でそのまま得られるのが便利な点です。 $$Q = \text{C} \times \text{i (in/hr)} \times \text{A (acres)}$$ SI単位では、i をミリメートル毎時(mm/hr)、A をヘクタール(hectares)で入力し、結果を360で割ることで Q を立方メートル毎秒(m³/s)で算出します。 $$Q = \frac{\text{C} \times \text{i (mm/hr)} \times \text{A (ha)}}{360}$$
計算式の解説
流出係数 C は、降雨のうち地表流出となる割合を表します。目安として、芝生や公園では約 0.10〜0.30、住宅地では 0.40〜0.60、舗装面や商業地では 0.70〜0.95 程度です。降雨強度 i は、設計対象とする降雨に対する IDF(強度・継続時間・確率)曲線から、到達時間(time of concentration)に等しい継続時間の値を読み取って使います。これらに面積を掛け合わせることで、瞬間的なピーク流量が求められます。
計算例
面積5エーカーの商業用地で C = 0.70、設計降雨強度が 2.5 in/hr の場合、 $$Q = 0.70 \times 2.5 \times 5 = 8.75 \text{ cfs}$$ となります。SI単位では、面積5ヘクタール・C = 0.70・i = 60 mm/hr の場合、 $$Q = \frac{0.70 \times 60 \times 5}{360} = 0.583 \text{ m}^3/\text{s}$$ となります。
よくある質問(FAQ)
合理式はどのくらいの面積まで適用できますか? 比較的均一で小規模な流域、一般的には200エーカー未満の流域に最も適しています。より大きく複雑な流域では、SCS/NRCS法などのハイドログラフ手法を使うのが望ましいでしょう。
なぜ米国式では換算係数を省略するのですか? 正確な換算係数(\(1 \text{ acre} \cdot \text{in/hr} = 1.008 \text{ cfs}\))が 1 に非常に近いため、技術者は実務上これを 1 として扱います。本ツールもそれに従っています。
降雨強度はどう選べばよいですか? 対象とする再現期間(例:10年確率の降雨)に応じた地域の IDF 曲線を用い、流域の到達時間に等しい降雨継続時間の値を採用します。