脳灌流圧(CPP)とは?
脳灌流圧(cerebral perfusion pressure:CPP)とは、脳への血流、すなわち酸素供給を生み出す正味の圧力差のことです。脳に血液を送り込む平均動脈圧(MAP)から、その流れに逆らう頭蓋内圧(ICP)を差し引いた値として定義されます。十分なCPPを保つことは脳虚血を防ぐうえで欠かせず、特に外傷性脳損傷(頭部外傷)、脳卒中、頭蓋内圧亢進をきたした患者で重要となります。
計算ツールの使い方
患者の収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、測定した頭蓋内圧(ICP)を、いずれもmmHg単位で入力してください。本ツールはまずMAPを推定し、そこからICPを差し引いてCPPを算出します。成人では、頭部外傷後の目標CPPとしておおむね60〜70mmHgが推奨されることが多いものの、実際の目標値は患者ごとに個別に設定されます。
計算式の解説
本ツールでは2つの標準的な式を用います。平均動脈圧は $$\text{MAP} = \text{DBP} + \frac{\text{SBP} - \text{DBP}}{3}$$ で推定します。心周期の約3分の2を拡張期が占めるため、拡張期血圧に重みを置いた式になっています。脳灌流圧はこれを用いて $$\text{CPP} = \text{MAP} - \text{ICP}$$ で求めます。
計算例
たとえば、SBPが120mmHg、DBPが80mmHg、ICPが10mmHgの患者を考えます。$$\text{MAP} = 80 + \frac{120 - 80}{3} = 80 + 13.33 = 93.33\,\text{mmHg}$$ となります。$$\text{CPP} = 93.33 - 10 = 83.33\,\text{mmHg}$$ となり、これは健常範囲に収まっています。
よくある質問(FAQ)
正常なCPPはどのくらいですか? 成人では、おおむね60〜80mmHg程度のCPPが十分とされます。50〜60mmHgを下回ると脳虚血のリスクが高まります。
なぜMAPを測定せず推定するのですか? 観血的動脈圧ライン(Aライン)を用いればMAPを直接測定できますが、マンシェット(血圧計のカフ)による測定値しか得られない場面では、SBPとDBPからの推定が手軽で広く使われています。
これは臨床判断の代わりになりますか? いいえ。本ツールはあくまで学習・教育を目的とした補助ツールです。治療目標は、患者ごとに資格を有する医療従事者が設定する必要があります。