ゴーリンの式とは?
ゴーリンの式(Gorlin formula)は、心臓カテーテル検査で狭窄した心臓弁の弁口面積(断面積)を推定するために用いられる血行動態の計算式です。1951年にRichard GorlinとSarah Gorlinによって考案され、弁を通過する血流量とその血流を駆動する圧較差から弁の開口面積を求めます。主に大動脈弁と僧帽弁に適用され、弁狭窄症の重症度評価に役立てられています。
この計算ツールの使い方
まず対象とする弁(大動脈弁または僧帽弁)を選びます。次に、心拍出量(L/分)、心拍数(拍/分)、収縮期駆出時間(大動脈弁の場合)または拡張期充満時間(僧帽弁の場合)(秒/拍)、そして弁を通過する平均圧較差(mmHg)を入力してください。本ツールはまず心拍出量を1拍あたり・1秒あたりの弁通過血流量に換算し、続いてゴーリンの式を適用して弁口面積を算出します。
計算式の解説
弁通過血流量 \(Q\)(mL/秒)= CO × 1000 ÷(HR × SEP)。弁口面積 \(A\) = \(Q\) ÷(44.3 × C × √ΔP)で求められます。 $$A = \frac{F}{44.3 \cdot C \cdot \sqrt{\text{Gradient}}}$$ $$\text{where}\quad \left\{ \begin{aligned} F &= \frac{1000 \cdot \text{CO (L/min)}}{\text{HR} \cdot \text{SEP}} \\ C &= 1.0 \end{aligned} \right.$$ 44.3は流量係数と速度係数から導かれるゴーリン定数で、Cは弁の種類による補正係数です。大動脈弁では\(C = 1.0\)、僧帽弁では\(C = 0.85\)を用います。
計算例
大動脈弁の患者で、CO=5 L/分、HR=70 拍/分、収縮期駆出時間=0.33 秒/拍、平均圧較差=40 mmHg の場合を考えます。血流量 = \(5000 \div (70 \times 0.33) = 216.45\) mL/秒。弁口面積 = \(216.45 \div (44.3 \times 1.0 \times \sqrt{40}) = 216.45 \div 280.2 \approx 0.77\) cm²。この値は重度の大動脈弁狭窄症を示します。
よくある質問
正常な大動脈弁口面積はどのくらいですか? 正常な大動脈弁口面積はおよそ3〜4 cm²です。一般に1.0 cm²を下回ると重度の狭窄とされます。
なぜ僧帽弁ではCの値が異なるのですか? 僧帽弁では血流動態の違いを補正するため、経験的な定数0.85を用います。一方、大動脈弁では1.0を使用します。
臨床判断の代わりになりますか? いいえ。ゴーリンの式はあくまで推定値であり、正確な血行動態の測定値に依存します。実際の評価では、医師がほかの所見と合わせて総合的に判断する必要があります。