不完全ベータ関数の計算とは
このツールは、実数の形状パラメータ \(a > 0\)、\(b > 0\) と上限 \(0 \le x \le 1\) に対して、不完全ベータ関数 \(B_{x}(a,b)\) と、その正規化された形である正規化不完全ベータ関数 \(I_{x}(a,b)\) を計算します。これは純粋な数学であり、地域や国による規則の違いはなく、どこでも同じ結果が得られます。\(I_{x}(a,b)\) はベータ分布の累積分布関数(CDF)に一致するため、スチューデントの t 分布・F 分布・二項分布の裾の計算の基礎にもなっています。
使い方
2 つの形状パラメータ \(a\) と \(b\)(いずれも正の値)と、0 から 1 までの上限 \(x\) を入力します。計算結果として、主要な値である \(I_{x}(a,b)\) に加え、正規化していない \(B_{x}(a,b)\) と完全ベータ関数 \(B(a,b)\) が表示されます。倍精度演算により、有効数字でおよそ 15 桁まで信頼できる結果が得られます。
計算式の解説
不完全ベータ関数は、次の部分積分で定義されます:
$$B_{x}(a,b) = \int_{0}^{x} t^{\,a-1}(1-t)^{\,b-1}\,dt$$完全ベータ関数は
$$B(a,b) = \frac{\Gamma(a)\,\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)}$$です。これで割ると正規化形
$$I_{x}(a,b) = \frac{B_{x}(a,b)}{B(a,b)}$$が得られ、その値は常に \([0,1]\) の範囲に収まります。本計算では、数値的に安定した連分数展開と、対数ガンマ関数のランチョス近似を用いて \(I_{x}\) を求め、そこから \(B_{x} = I_{x} \times B(a,b)\) を復元しています。
計算例
\(a = 1\)、\(b = 3\)、\(x = 0.4\) とします。\(a = 1\) のとき被積分関数は \((1-t)^{2}\) となるので、
$$B_{x} = \frac{1 - 0.6^{3}}{3} = \frac{0.784}{3} = 0.26133$$です。完全ベータ関数は \(B(1,3) = \frac{1\cdot 2}{6} = \frac{1}{3}\)。したがって
$$I_{x} = \frac{0.26133}{0.33333} = 0.784$$となり、恒等式 \(I_{0.4}(1,3) = 1 - (1-0.4)^{3} = 0.784\) と一致します。
よくある質問
\(B_{x}\) と \(I_{x}\) の違いは? \(B_{x}\) は正規化していない部分積分そのものの値で、\(I_{x} = B_{x}/B(a,b)\) は \([0,1]\) に正規化した値です。
なぜ \(a\) と \(b\) は正の値でなければならないの? ガンマ関数は 0 以下の整数で極を持ち、それ以外でも積分が発散してしまうため、\(a > 0\) かつ \(b > 0\) が必要です。
端点ではどうなるの? \(x = 0\) では \(B_{x}\) も \(I_{x}\) も 0 になり、\(x = 1\) では \(I_{x} = 1\)、\(B_{x} = B(a,b)\) となります。