この計算ツールでできること
このツールは、標準的な経胸壁心エコー検査(TTE)で得られる測定値から一回拍出量(SV)と心拍出量(CO)を推定します。必要な測定値は、左室流出路(LVOT)径、パルスドプラ法で得たLVOT速度時間積分(VTI)、そして患者さんの心拍数の3つです。心エコー検査室や集中治療の現場で、順行性血流量を定量化する目的で広く用いられています。
使い方
LVOT径は、傍胸骨左室長軸像で収縮中期にセンチメートル単位で計測します。LVOT VTIは、心尖部五腔像でパルスドプラの波形(エンベロープ)をトレースし、センチメートル単位で求めます。心拍数は1分あたりの拍数(bpm)で入力してください。計算ツールは、LVOT断面積、一回拍出量(mL)、心拍出量(L/分)を算出します。
計算式の解説
LVOTは円とみなすため、その断面積は \( \frac{\pi}{4} \times D^{2} \approx 0.785 \times D^{2} \) で求められます。この断面積に、1拍ごとに血液が進む距離であるVTIを掛けると一回拍出量が得られます:
$$SV = 0.785 \times D^{2} \times VTI$$
心拍出量はこれに心拍数を掛け、mL/分をL/分に換算するために1000で割って求めます。
$$CO = \frac{0.785 \cdot d^{2} \cdot VTI \cdot HR}{1000}$$
$$\text{where}\quad \left\{ \begin{aligned} d &= \text{LVOT Diameter (cm)} \\ VTI &= \text{LVOT VTI (cm)} \\ HR &= \text{Heart Rate (bpm)} \end{aligned} \right.$$
計算例
LVOT径が2.0cm、VTIが20cm、心拍数が70bpmの場合:
$$\text{断面積} = 0.785 \times 2.0^{2} = 3.14 \, \text{cm}^{2}$$
$$SV = 3.14 \times 20 = 62.8 \, \text{mL}$$
$$CO = 62.8 \times 70 \div 1000 = 4.4 \, \text{L/分}$$
となります。
よくある質問
なぜ直径の2乗がそれほど重要なのですか? 断面積は直径の2乗に比例するため、LVOT径のわずかな測定誤差が結果に最も大きく影響します。
正常な心拍出量はどのくらいですか? 安静時の成人ではおおよそ4〜8L/分ですが、体格によって変動します。
臨床的判断の代わりになりますか? いいえ。これはあくまで教育目的の推定値であり、臨床上の判断には資格を持つ医師の評価が必要です。