この計算ツールでできること
比重計(ハイドロメーター)は、液体に浮かぶ高さによって比重(SG)を測定する器具です。ただし比重計は、ある決まった温度で正しく表示するように校正されています。一般的には20°C(68°F)が基準です。サンプルがこの基準より高温・低温だと液体の密度が変化し、表示値がずれてしまいます。本ツールは温度補正を行い、校正基準温度における正しい比重を算出します。ビール・ワインの醸造や実験室での測定で、正確な数値を得るために欠かせない処理です。
使い方
比重計が示しているSG(比重)、サンプルの実際の温度、そして比重計の校正温度(器具本体や説明書を確認してください。通常は20°C)を入力します。補正後のSGと、適用された補正量が表示されます。
計算式の解説
補正では、2つの温度における水の密度の比を測定値に掛け合わせます。密度は摂氏温度を変数とした3次多項式で推定します。$$\rho(T) = 1.00130346 - 1.34722124\times 10^{-4}\,T + 2.04052596\times 10^{-6}\,T^{2} - 2.32820948\times 10^{-9}\,T^{3}$$。補正後の比重は \(\text{SG}\times\rho(T_{\text{サンプル}})/\rho(T_{\text{校正}})\) で求められます。校正温度より高温のサンプルは値が低めに出るため、補正によって値が上方修正されます。逆に低温のサンプルは下方修正されます。
計算例
たとえば、20°Cで校正された比重計が1.050を示しているが、麦汁(ウォート)が30°Cだったとします。\(\rho(30) \approx 0.99847\)、\(\rho(20) \approx 0.99905\) なので、比は約0.99942となります。補正後のSGは $$1.050 \times 0.99942 \approx 1.0494$$ で、わずかに低い値になります。高温時の測定値が実際より大きく出ていたことが確認できます。
よくある質問
校正温度はどれを使えばいいですか? 現在の比重計の多くは20°Cで校正されています。古い器具や米国製のものは15.6°C(60°F)を使う場合があります。お使いの器具に印字されている値を使用してください。
高比重の麦汁やワインにも使えますか? あくまで近似値ですが十分に実用的です。この多項式は水の密度をモデル化しているため、糖分が非常に多いマストではごくわずかな誤差が生じますが、実際の醸造で許容される範囲に十分収まります。
補正値が小さく見えるのはなぜですか? 校正温度から数度以内であれば補正量はごくわずかです。意味のある差が出るのは、温度差がおよそ5〜10度を超えてからです。