この光路長計算ツールでできること
この計算ツールはベール・ランベルトの法則を変形し、光が試料を通過する際の光学的な光路長(l)を求めます。測定した吸光度、吸収種のモル吸光係数、溶液の濃度を入力すると、セルの光路長をセンチメートル単位で返します。これは通常の「濃度を求める」問題の逆で、セルの形状を確認したり、自作のフローセルを検証したり、光路長が未知数となる実験を逆算したりするのに役立ちます。
使い方
3つの値を入力します。吸光度(A、分光光度計から得られる無次元の測定値)、モル吸光係数(ε、測定した波長における L·mol⁻¹·cm⁻¹)、そして濃度(c、mol/L)です。計算ツールは吸光度を ε と c の積で割り、光路長をセンチメートルで表示し、便宜のためにミリメートル換算も示します。ε と c は、A を得たときと同じ波長・同じ単位で与えられていることを確認してください。
式の解説
ベール・ランベルトの法則によれば、吸光度はモル吸光係数、濃度、光路長の積です。
$$A = \varepsilon \, c \, l$$
光路長について解くと、次のようになります。
$$l = \frac{A}{\varepsilon \, c}$$
ここで A は無次元、ε の単位は L·mol⁻¹·cm⁻¹、c は mol/L なので、積 ε·c の単位は cm⁻¹ となり、l はセンチメートルで得られます。この法則は、単色光と、吸光度がほぼ直線的に保たれる希薄で散乱のない溶液を仮定しており、通常は A が約1未満の場合に成り立ちます。
計算例
ある溶液の吸光度が A = 0.63 で、その波長でのモル吸光係数が ε = 6300 L·mol⁻¹·cm⁻¹、濃度が c = 0.0001 mol/L(1 × 10⁻⁴ M)だとします。光路長は次のようになります。
$$l = \frac{0.63}{6300 \times 0.0001} = \frac{0.63}{0.63} = 1\ \text{cm}$$
この結果は標準的な 1 cm のセルであることを裏付けます。同じ測定値が A = 2.0 で、ε = 20000、c = 5 × 10⁻⁵ M だった場合、光路長は l = 2.0 / (20000 × 0.00005) = 2.0 / 1.0 = 2 cm となります。
よくある質問
光路長はどの単位で得られますか? 吸光度が無次元、モル吸光係数が L·mol⁻¹·cm⁻¹、濃度が mol/L のとき、光路長はセンチメートルで得られます。計算ツールはミリメートル換算値も表示します。
なぜモル吸光係数と濃度は0より大きくなければならないのですか? 光路長は吸光度を積 ε·c で割って求めます。ε または c が0だとその積は0になり、割り算が定義できないため、どちらも正の実数でなければなりません。
直線的な吸光度範囲の外でも使えますか? ベール・ランベルトの法則が信頼できるのは希薄で散乱のない試料に限られ、通常は吸光度が約1未満のときです。吸光度が高いと迷光や化学的な影響でずれが生じるため、非常に高い A から求めた光路長は不正確になることがあります。