デバイ長とは?
デバイ長(\(\lambda_D\))とは、プラズマや電解質中で動き回る電荷キャリアが電場を遮蔽(スクリーニング)する際の、特徴的な距離のことです。この距離を超えると、ある電荷がつくる電位は周囲を取り囲む反対符号の電荷の「海」によって実質的に打ち消されてしまいます。デバイ長は、プラズマ物理学・電気化学・半導体物理学において最も基本的なスケールのひとつとされています。
この計算ツールの使い方
媒質の比誘電率(真空中のプラズマなら \(\varepsilon_r \approx 1\)、水なら \(\approx 80\))、ケルビン単位の温度、1立方メートルあたりの粒子数で表した電荷キャリアの数密度、そして電気素量 \(e\) を単位とした1粒子あたりの電荷を入力してください。計算結果として、デバイ長がメートル・ミリメートル・マイクロメートルの各単位で表示されます。
計算式
デバイ長は次の式で求められます:
$$\lambda_D = \sqrt{\dfrac{\varepsilon\,k_B\,T}{n\,q^2}}$$ここで \(\varepsilon = \varepsilon_r\,\varepsilon_0\) は誘電率(\(\varepsilon_0 = 8.854\times10^{-12}\ \text{F/m}\))、\(k_B = 1.381\times10^{-23}\ \text{J/K}\) はボルツマン定数、\(T\) は温度、\(n\) は数密度、\(q\) はキャリアの電荷(\(q = Z\cdot e\)、\(e = 1.602\times10^{-19}\ \text{C}\))です。
計算例
\(\varepsilon_r = 1\)、\(T = 10{,}000\ \text{K}\)、\(n = 1\times10^{18}\ \text{m}^{-3}\)、\(q = e\) の水素プラズマを考えてみましょう。分子は
$$\varepsilon_0\cdot k_B\cdot T = 8.854\times10^{-12} \times 1.381\times10^{-23} \times 10^4 \approx 1.2226\times10^{-30}$$となります。分母は
$$n\cdot q^2 = 10^{18} \times (1.602\times10^{-19})^2 \approx 2.567\times10^{-20}$$です。両者の比は \(\approx 4.762\times10^{-11}\) で、その平方根は \(\approx 6.90\times10^{-6}\ \text{m}\)、つまり約 \(6.9\ \mu\text{m}\) となります。
よくある質問(FAQ)
なぜ温度が高いとデバイ長が長くなるのですか? 温度が高いほど粒子の運動は速くなり、閉じ込めにくくなります。そのため遮蔽距離は \(\sqrt{T}\) に比例して大きくなります。
数密度はどの値を使えばよいですか? 遮蔽を担う荷電粒子の数密度を使ってください。プラズマの場合は通常、電子の数密度です。
電荷の符号は影響しますか? いいえ。電荷は \(q^2\) の形で式に入るため、結果に影響するのはその大きさ(絶対値)だけです。