信号減衰量とは?
信号減衰量とは、電力がケーブル・光ファイバー・コネクタ・自由空間などの媒体を伝わる際に、信号の強さが失われることをいいます。単位にはデシベル(dB)を用います。デシベルは対数を使った単位で、非常に大きな比率もコンパクトで読みやすい数値として表せるのが特長です。減衰量がプラスの値であれば、出力電力が入力電力より小さい、つまり信号が弱まっていることを意味します。
この計算ツールの使い方
入力電力(\(P_{in}\))と出力電力(\(P_{out}\))を、同じ単位で入力してください。ここではミリワット(mW)を使用していますが、結果は電力の「比率」だけで決まるため、単位をそろえてあればどの電力単位を使ってもかまいません。計算ボタンを押すと、減衰量がデシベルで表示されるとともに、電力比もあわせて確認できます。ケーブルの引き回し、スプリッタ、減衰パッド(アッテネータ)の評価や、リンクバジェット全体の見積もりに役立ちます。
計算式の解説
デシベルで表した減衰量は、次の式で求められます。
$$\text{減衰量(dB)} = 10 \cdot \log_{10}\!\left(\frac{P_{in}}{P_{out}}\right)$$電力は電圧や電流の2乗に比例するため、電力で計算する場合は係数に10を使います。(電圧比や電流比で計算する場合は、係数が20になります。)底が10の対数を用いることで、広いダイナミックレンジをコンパクトに表現できます。たとえば電力が10分の1になれば10 dB、100分の1なら20 dB、1000分の1なら30 dBの損失です。
計算例
たとえば、ある信号が100 mWでケーブルに入り、10 mWで出てきたとします。電力比は \(100 / 10 = 10\)。減衰量は $$10 \cdot \log_{10}(10) = 10 \cdot 1 = 10 \text{ dB}$$ となります。信号は電力の90%を失っていますが、これを「10 dBの損失」とコンパクトに表せるわけです。
一般的なメディアの典型的な減衰値
減衰は周波数、ケーブルの種類、そして光ファイバーの場合は波長に大きく依存します。以下の値は、初期計画に役立つ代表的で広く記録されている数値です。使用する特定の部品と周波数については、製造元のデータシートで正確な損失を必ず確認してください。銅線の損失は周波数に伴って増加し、光ファイバーは波長によって変わります。
同軸ケーブル(100 mあたりの損失)
| ケーブル | 周波数 | 概算損失 |
|---|---|---|
| RG-58 | 100 MHz | ~16 dB/100 m |
| RG-58 | 400 MHz | ~33 dB/100 m |
| RG-6 | 100 MHz | ~6 dB/100 m |
| RG-6 | 1000 MHz | ~20 dB/100 m |
ツイストペア(Cat5e / Cat6、100 mチャネルあたり)
| ケーブル | 周波数 | 概算挿入損失 |
|---|---|---|
| Cat5e | 100 MHz | ~22 dB/100 m |
| Cat6 | 100 MHz | ~20 dB/100 m |
| Cat6 | 250 MHz | ~33 dB/100 m |
光ファイバー(1 kmあたりの損失)
| ファイバー / 波長 | 概算損失 |
|---|---|
| シングルモード @ 1310 nm | ~0.32–0.4 dB/km |
| シングルモード @ 1550 nm | ~0.17–0.25 dB/km |
| マルチモード(OM3/OM4)@ 850 nm | ~2.5–3.0 dB/km |
| マルチモード @ 1300 nm | ~0.7–1.0 dB/km |
コネクタおよびスプリッタ挿入損失
| コンポーネント | 典型的な損失 |
|---|---|
| 光ファイバーコネクタ(接続済みペア、LC/SC) | ~0.3–0.75 dB |
| 融着スプライス | ~0.1 dB |
| 機械的スプライス | ~0.3 dB |
| 光学2分岐スプリッタ(1×2) | ~3.5 dB |
| 光学4分岐スプリッタ(1×4) | ~7.2 dB |
| 光学8分岐スプリッタ(1×8) | ~10.5 dB |
| RFコアックスコネクタ(N、SMA) | ~0.1–0.3 dB |
よくある質問
使う電力単位は何でもよいのですか? はい。この式は2つの電力の「比率」を使うため、両方の入力単位がそろってさえいれば、mW・W・µW のどれを使っても同じdBの結果になります。
結果がマイナスになるのはどういう意味ですか? マイナスの値は、出力電力が入力電力を上回っていること、つまり損失ではなく「利得(ゲイン)」を意味します。アンプ(増幅器)などで生じます。
なぜ単純な比率ではなくデシベルを使うのですか? デシベルを使うと、比率のかけ算を足し算に置き換えられます。そのため、連なった複数の部品の損失を単純に足し合わせるだけで、リンク全体の損失を簡単に求められるのです。