この粘度指数(VI)計算ツールでできること
粘度指数(VI:Viscosity Index)は、潤滑油の粘度が温度によってどれだけ変化するかを示す無次元の数値です。VIが高いオイルは、温度が上下してもほとんど粘度が変わらず安定しているのに対し、VIが低いオイルは加熱されると一気にサラサラになってしまいます。本ツールは、わずか2つの試験データ ― 40℃と100℃における動粘度 ― からVIを算出します。エンジニアリング、自動車の整備、潤滑油の製造現場などで、オイル同士を比較したり規格を満たしているか確認したりする目的で広く利用されています。
必要な2つの入力値
- 40℃における動粘度(cSt) ― 低い側の基準温度におけるオイルの流動抵抗を、センチストークス(cSt)で表したものです。
- 100℃における動粘度(cSt) ― 高い側の基準温度で測定した、同じ動粘度の値です。
これらの値は通常、ASTM D445などの標準試験で得られ、多くのオイルのデータシート(製品仕様書)に記載されています。
計算式の解説
本ツールは、VIが100未満のオイルを対象とした標準的な算出方法であるASTM D2270に準拠しています。40℃の値(\(\nu_{40}\))と100℃の値(\(\nu_{100}\))を用いて、次のように計算します。
- L $$L = 0.8353\,\nu_{40}^{2} - 14.67\,\nu_{40} - 216$$(VI = 0 の基準油における40℃での粘度)
- H $$H = 0.1684\,\nu_{40}^{2} - 11.85\,\nu_{40} - 97$$(VI = 100 の基準油における40℃での粘度)
- U $$U = 10^{\left(\frac{\nu_{100} - 0.7}{0.2}\right)} - 1$$
- VI $$\text{VI} = \frac{\log_{10} H - \log_{10} U}{\log_{10} H - \log_{10} L} \times 100$$
簡単に言えば、この式は対象のオイルを、その挙動を上下から挟み込む2つの基準油と比較し、その間のどこに位置するかを数値化しているのです。
計算例
あるオイルの測定値が \(\nu_{40} = 73\ \text{cSt}\)、\(\nu_{100} = 8.6\ \text{cSt}\) だったとします。このとき、$$L = 0.8353 \times 5329 - 14.67 \times 73 - 216 \approx 3163$$$$H = 0.1684 \times 5329 - 11.85 \times 73 - 97 \approx 36.3$$さらに $$U = 10^{\left(\frac{8.6 - 0.7}{0.2}\right)} - 1$$ となり、これは非常に大きな値になります。これらをVIの式に代入すると、指数は低〜中程度の値となり、このオイルの粘度が温度の影響を比較的受けやすいことがわかります。
よくある質問
粘度指数(VI)はどのくらいが良いの? 高性能なマルチグレードエンジンオイルは120を超えることが多く、一般的な鉱物油では90〜100程度のこともあります。温度変化の大きい環境では、VIが高いほど一般的に有利です。
入力する単位は? 2つの入力値はいずれもセンチストークス(cSt)を使い、ちょうど40℃と100℃で測定した値を入力してください。そうすることで、業界基準と一致する結果が得られます。
VIが100を超えるオイルにも使える? 本ツールは標準的な内挿式を用いています。VIが非常に高いオイルについては、技術的には拡張版のASTM D2270計算が必要となるため、高い結果が出た場合はあくまで目安としてご利用ください。