有効度-NTU法とは?
有効度-NTU法(ε-NTU法)は、熱交換器の出口温度があらかじめ分からない場合に用いられる、伝熱工学の代表的な解析手法です。対数平均温度差(LMTD)の式を反復計算で解く代わりに、実際の伝熱量と熱力学的に可能な最大伝熱量との比を、有効度εという1つの無次元数で結びつけます。本ツールは、純粋な向流式(カウンターフロー)熱交換器を対象に計算します。
本ツールの使い方
次の3つの値を入力してください。総括熱コンダクタンスUA(総括伝熱係数と伝熱面積の積、単位はW/K)、小さい方の熱容量流量Cmin、大きい方の熱容量流量Cmax(いずれもW/K、C=ṁ·cₚ)です。これらを入力すると、伝熱単位数(NTU)、熱容量比Cr、そして向流式の有効度が算出されます。
計算式の解説
まず \(\text{NTU} = \dfrac{\text{UA}}{\text{Cmin}}\) により、最も小さい流体に対する熱交換器の大きさが決まります。熱容量比 \(C_r = \dfrac{\text{Cmin}}{\text{Cmax}}\) は、2つの流体のバランスの度合いを表します。向流式の有効度は次の式で求められます。$$\varepsilon = \frac{1 - e^{-\text{NTU}(1 - C_r)}}{1 - C_r\, e^{-\text{NTU}(1 - C_r)}}$$2つの流体が完全に釣り合っている場合(\(C_r = 1\))には、この式は $$\varepsilon = \frac{\text{NTU}}{1 + \text{NTU}}$$ に簡略化されます。実際の交換熱量は \(Q = \varepsilon \cdot \text{Cmin} \cdot (T_{\text{高温入口}} - T_{\text{低温入口}})\) で計算できます。
計算例
たとえば \(\text{UA} = 1000 \text{ W/K}\)、\(\text{Cmin} = 500 \text{ W/K}\)、\(\text{Cmax} = 800 \text{ W/K}\) とします。このとき \(\text{NTU} = 1000 / 500 = 2\)、\(C_r = 500 / 800 = 0.625\) です。指数項は \(e^{-2(0.375)} = e^{-0.75} \approx 0.4724\) となります。したがって $$\varepsilon = \frac{1 - 0.4724}{1 - 0.625 \cdot 0.4724} \approx \frac{0.5276}{0.7048} \approx 0.7486$$ つまり有効度は約74.9%となります。
よくある質問
有効度(ε)とは何を表しますか? 実際に交換された熱量を、無限に長い熱交換器が交換できる最大熱量で割った比率を指します。
並流式やシェルアンドチューブ式にも使えますか? いいえ。本ツールは向流式の関係式を用いています。向流式は同じNTUに対して最も高い有効度が得られる形式です。その他の構成では、ε-NTUの式が異なります。
CminとCmaxが等しい場合はどうなりますか? \(C_r = 1\) を自動的に判定し、極限形である \(\varepsilon = \dfrac{\text{NTU}}{1 + \text{NTU}}\) を用いて計算します。