この計算機でできること
この計算機は、日本の伝統数学「和算」の学者が考案した2つの歴史的な級数のいずれかを足し合わせることで、円周率πを近似します。\(\pi^2/9\) に収束する建部賢弘の級数(1722年)と、\(\pi/3\) に収束する松永良弼の級数(1739年)から選べます。歴史的な背景は日本のものですが、これらの級数自体は普遍的な数学であり、どこで計算してもπに収束します。
使い方
プルダウンから公式を選び、足し合わせる項数 N を入力します(項数が多いほど精度が上がります)。あわせて表示する桁数を指定してください。計算結果として、πの近似値に加え、級数和そのもの(松永は \(\pi/3\)、建部は \(\pi^2/9\))も表示されるので、途中の値を確認できます。
公式の解説
松永の公式では、各項を前の項に \((2k-1)^2\) を掛け、\(4k\times(4k+2)\) で割って求めます。
$$\frac{\pi}{3} = 1 + \frac{1^2}{4\cdot6} + \frac{1^2\cdot3^2}{4\cdot6\cdot8\cdot10} + \cdots$$
$$\frac{\pi}{3} = \sum_{k=0}^{N-1} \frac{((2k-1)!!)^2}{4\cdot6\cdots(4k+2)}$$
その総和 S から \(\pi = 3S\) が得られます。建部の公式では、各項に \(k^2\) を掛け、\((2k+1)(2k+2)\) で割っていき、その総和 S から \(\pi = 3\times\sqrt{S}\) が求まります。
$$\frac{\pi^2}{9} = \sum_{k=0}^{N-1} \frac{(k!)^2}{3\cdot4\cdots(2k+2)}$$
このように漸化式で各項を逐次計算することで、巨大な階乗の計算を避け、オーバーフローを防いでいます。
計算例
松永の公式で N = 4 項の場合:
$$1 + \frac{1}{24} + \frac{9}{1920} + \frac{225}{322560} = 1.0470517113$$
となり、
$$\pi \approx 3 \times 1.0470517113 = 3.1411551340$$
です。100項まで足すと、倍精度演算の限界いっぱい、約 \(3.14159265358979\) に達します。
よくある質問
表示桁数を増やしても精度が上がらないのはなぜ? この計算は倍精度浮動小数点演算で行っており、有効桁数はおよそ15〜16桁が限界です。建部や松永が達成した41桁・52桁という歴史的な偉業を再現するには、任意精度(BigDecimal)の演算が必要になります。
項数を1にするとどうなる? 級数は先頭の 1 だけを返すため、どちらの公式でも \(\pi \approx 3\) になります。
どちらの級数のほうが収束が速い? どちらも着実に収束します。実用上は数百項も足せば、倍精度の限界に到達します。