この計算機でできること
このツールは、歴史に名を残す「マチン型」と呼ばれる2項アークタンジェント公式を用いて、円周率πを計算します。これらの公式はいずれも π/4 を、小さな有理数のアークタンジェント2つの重み付き和として表すもので、各アークタンジェントは古典的なグレゴリー級数(ライプニッツ級数)で展開されます。引数が小さいため級数の収束が速く、倍精度の完全な精度に達するのにわずかな項数で済みます。
使い方
まずプルダウンから有名な公式を1つ選びます——マチン(1706年)、ヘルマン(1706年)、オイラー(1738年)、オイラー&ヴェガ(1755年)、ハットン(1776年)のいずれかです。次に必要な有効桁数と、級数の項数の上限(最大反復回数)を指定します。計算機は、求めたπの値、次の項が許容誤差を下回るまでに加算した項数、そして真のπとの絶対誤差を返します。
注意:この再構築版は IEEE 倍精度演算を採用しており、有効桁数で約15〜16桁まで正確です。それを超える設定は15桁で打ち切られます。元のツールが対応していた22〜50桁の範囲を扱うには、任意精度演算が必要になります。
公式の解説
一般式は $$\pi = 4\left(c_1\,\arctan\frac{p_1}{q_1} + c_2\,\arctan\frac{p_2}{q_2}\right)$$ です。グレゴリー級数 $$\arctan x = x - \frac{x^3}{3} + \frac{x^5}{5} - \frac{x^7}{7} + \dots$$ を1項ずつ加算していき、ある項が許容誤差 \(0.5 \times 10^{-(\text{桁数}+2)}\) を下回ったところで打ち切ります。引数が小さいほど収束は速くなります。マチンの \(1/5\) と \(1/239\) は、オイラーの \(1/2\) と \(1/3\) よりもはるかに少ない項数で高精度に到達します。
計算例(マチン 1706年)
arg1 = 1/5、c1 = 4 とすると、\(\arctan(0.2) \approx 0.19739555985\) です。arg2 = 1/239、c2 = −1 とすると、\(\arctan(1/239) \approx 0.00418407600\) です。これより $$\pi/4 = 4 \cdot 0.19739555985 - 0.00418407600 = 0.78539816339$$ となり、$$\pi = 4 \cdot 0.78539816339 = 3.14159265359$$ で、真の値と一致します。
よくある質問
なぜライプニッツ級数(arctan 1)が選択肢にないのですか? \(\arctan(1) = \pi/4\) は収束が極端に遅く、数千項を足してもわずか数桁しか正しくならないためです。歴史上の意義として触れてはいますが、高速な公式としては提供していません。
なぜマチンはオイラーより少ない項数で済むのですか? 引数(\(1/5\)、\(1/239\))がより小さく、グレゴリー級数は \(|x|\) が小さいほど速く収束するからです。
ここで円周率を40桁まで求められますか? 倍精度では無理です。結果が信頼できるのはおよそ15桁までです。それ以上の精度には多倍長10進演算が必要になります。