この計算機でできること
このツールは、4種類の古典的なマチン型アークタンジェント3項公式のいずれかを使って、数学定数である円周率πを計算します。各公式は π/4 を \(a\cdot\arctan\tfrac{1}{b}\) という形の3つのアークタンジェント項の重み付き和として表し、すべての係数は厳密な整数です。各引数 \(1/b\) が小さいため、アークタンジェントはグレゴリー級数(マクローリン級数)によって効率よく評価できます。これは純粋数学に基づく計算であり、地域や国による前提は一切なく、世界共通で成り立ちます。
使い方
まずプルダウンから公式を選びます。選べるのはクリンゲンシェルナ(1730年)、シュトラスニツキー(1844年)、ガウス(1863年)、ストーマー(1896年)の4つです。次に精度(桁数)を指定します。4つの公式はいずれも同じπの値に収束しますが、アークタンジェント級数が落ち着くまでの速さだけが異なります。分母の大きい公式(239や515など)は、分母の小さいシュトラスニツキーの公式よりも速く収束します。なお、この実装は倍精度浮動小数点数を用いているため、指定した精度にかかわらず、表示できる正確さはおよそ有効数字15〜16桁が限界です。
公式の解説
選択した係数に対して、計算機は各項を term_i = a_i * atanSeries(1/b_i) として評価します。ここで atanSeries(x) = x - x^3/3 + x^5/5 - x^7/7 + ... です。すなわち $$\arctan x = x - \tfrac{x^3}{3} + \tfrac{x^5}{5} - \tfrac{x^7}{7} + \cdots$$ 級数は、次に加える増分が許容誤差(おおよそ 10 の「桁数+2」のマイナス乗)より小さくなるまで足し合わせます。最後に $$\pi = 4\left(a_1\arctan\tfrac{1}{b_1} + a_2\arctan\tfrac{1}{b_2} + a_3\arctan\tfrac{1}{b_3}\right)$$ を計算します。負の係数は単純にそのアークタンジェント項を差し引くもので、符号は表に記された通り厳密に保たれます。
計算例
シュトラスニツキーの公式を使った例です。\(\arctan(1/2) = 0.4636476090008061\)、\(\arctan(1/5) = 0.1973955598498807\)、\(\arctan(1/8) = 0.1243549945467614\) となります。これらの和は \(0.7853981633974482\) で、これを4倍すると $$4 \times 0.7853981633974482 = 3.141592653589793$$ となり、倍精度の範囲でπに完全に一致します。
よくある質問
なぜ単純な級数ではなくアークタンジェント公式を使うのですか? π/4 を表す単純なライプニッツ級数は、収束が非常に遅いのが難点です。π/4 を小さな引数のアークタンジェントに分解することで、それぞれの級数がはるかに速く収束します。
なぜ50桁の正確な値が得られないのですか? 標準的な倍精度演算では、有効数字でおよそ15〜16桁しか保持できないためです。本格的な任意精度の実装であれば、BigDecimal 演算を用いてより大きな桁数まで到達できます。
4つの公式は同じ答えになりますか? はい。これらはいずれもπを表す数学的に等価な公式であり、異なるのは収束の速さだけです。