このツールについて
燃料ポンプ計算ツールは、目標とする出力レベルでエンジンが必要とする燃料流量を見積もり、その値をポンプやインジェクターのメーカーが実際にカタログで公表している単位——リットル毎時(LPH)、ポンド毎時(lb/hr)、ガロン毎時、cc/min——に変換します。ガソリン仕様のストリート車両やモータースポーツ向けのエンジン製作を想定しており、ピーク負荷時に余力を使い切ってしまうようなポンプを選ばないための判断材料になります。
使い方
目標とするクランク馬力を入力し、BSFCの値を選び、自然吸気(NA)か過給(ターボ・スーパーチャージャー)かを選択します(これはどのBSFCを使うかの目安になります)。最後に、ポンプを稼働させたい最大デューティ比を設定します。一般的には80〜85%程度の安全マージンを取り、ポンプを常に全開で使わないようにします。計算結果は、選ぶべきポンプの最低流量を示します。
計算式の解説
BSFC(Brake Specific Fuel Consumption=正味燃料消費率)とは、エンジンが1馬力あたり1時間で消費する燃料の重量(ポンド)を表します。一般的な値は、自然吸気エンジンで約0.50、より濃いめの混合気で運転する過給エンジンで0.55〜0.65です。必要流量 =(馬力 × BSFC)÷ デューティ比 で求められます。デューティ比で割ることで必要量を多めに見積もり、ポンプに余裕を持たせます。さらに、ガソリンの重量を約6 lb/gal、容量換算を3.785 L/gal として、lb/hr を LPH に変換します。
$$\text{LPH} = \frac{\dfrac{\text{HP} \times \text{BSFC}}{\text{Duty}/100}}{6} \times 3.785411784$$
計算例
500馬力の自然吸気エンジンで、BSFC 0.5、デューティ比85%の場合:\((500 \times 0.5) \div 0.85 = 294.1\ \text{lb/hr}\)。これを6で割ると \(49.0\ \text{gal/hr}\)、さらに3.78541を掛けると約 \(185.6\ \text{LPH}\) になります。したがって、定格200 LPH以上のポンプを選ぶのが望ましいといえます。
よくある質問
BSFCはどの値を使えばいい? ガソリンエンジンの場合、自然吸気なら約0.5、過給なら約0.6を目安にしてください。可能であれば、チューナー(セッティング担当者)のデータと照らし合わせて確認しましょう。
E85(高濃度エタノール燃料)にも使える? いいえ。E85はおよそ30〜40%多い容量を必要とします。近似的に、より高いBSFC(約0.65〜0.75)を使ってください。
なぜデューティ比で割るの? ポンプは圧力が上がるほど流量が低下し、100%で連続運転すべきではありません。80〜85%を前提に選定することで、信頼性のための余力を確保できます。