電動機の全負荷電流とは?
全負荷電流(FLC)は全負荷電流値(FLA)とも呼ばれ、電動機が定格出力(馬力)で運転しているときに流れる電流のことです。電線(導体)のサイズ選定をはじめ、過負荷保護、電磁接触器、配線用遮断器(ブレーカー)の選定に欠かせない基本値です。本計算機は、単相・三相いずれの交流誘導電動機にも対応しています。
この計算機の使い方
モーターの定格出力を馬力(HP)で入力し、続いて供給線間電圧、効率(%)、力率(誘導電動機では一般的に0.8〜0.9)を入力します。電源が単相か三相かを選択すると、全負荷電流(A)が表示されます。あわせて、機械的出力と電気的入力も確認できます。
計算式の解説
1機械馬力は746ワットに相当するため、モーターの軸出力は「\(\text{HP} \times 746\)」で求められます。効率による損失があるため電気的入力はこれより大きくなり、電流はこの入力電力を電圧で割り、さらに力率を加味して算出します。三相方式では、線電流の関係式に\(\sqrt{3}\)の係数が加わります。
$$I = \frac{\text{HP} \times 746}{\sqrt{3}\;\times\;\text{V}\;\times\;\eta\;\times\;\text{PF}}$$ここで\(\eta\)は小数で表した効率です(90% = 0.90)。単相モーターの場合は\(\sqrt{3}\)の項を除きます。
計算例
400V・効率90%・力率0.85で運転する10HPの三相モーターの場合:入力電力 \(= 10 \times 746 = 7460\ \text{W}\)。電流 \(= 7460 \div (1.732 \times 400 \times 0.90 \times 0.85) \approx 7460 \div 529.9 \approx\) 14.08 A となります。
よくある質問
これは銘板に記載された電流値と同じですか? いいえ、あくまで計算による推定値です。設計によって実際の値は異なるため、銘板にFLAの記載がある場合は必ずそちらを優先してください。
力率はどの値を使えばよいですか? 不明な場合、標準的な誘導電動機なら0.85が妥当な目安です。高効率モーターでは0.88〜0.92程度になることもあります。
なぜ効率が分母にあるのですか? 効率が低いほど、同じ軸出力を得るためにより大きな入力電流が必要になります。そのため\(\eta\)で割ることで、電流が正しく大きく計算されます。