この計算ツールでできること
車椅子スロープ勾配計算ツールは、スロープの立ち上がり高さ(rise/垂直方向の高さ)と水平距離(run/床面の長さ)を入力するだけで、施工者やバリアフリー検査担当者が重視する3つの数値を一度に算出します。すなわち、勾配比(1:12 など)、パーセント表示の勾配、そして度数で示す傾斜角度です。さらに、米国のADA(障害を持つアメリカ人法/Americans with Disabilities Act)ガイドラインにもとづく推奨水平距離も表示します。なお、ここで用いるADAの数値はあくまで米国独自の基準です。日本の建築基準法やバリアフリー法(高さに対する勾配の目安)、英国のPart M、オーストラリアのAS 1428 など、各国の規定は似てはいても完全に同一ではありませんので、お住まいの地域では現地の規定をご確認ください。
使い方
まず、スロープで上る必要のある垂直方向の総高さ(一般には、低い側の地面からポーチや玄関の段差の上端までの高さ)を測り、インチ(in)で入力します。次に、計画しているスロープの水平距離(床面でスロープが占める長さ)を入力してください。「計算」を押すと、勾配比、勾配パーセント、傾斜角度、そしてその立ち上がり高さに対するADA推奨の水平距離が表示されます。勾配比が1:12より急(勾配8.33%超)になる場合は、水平距離を長く取り直しましょう。
計算式の解説
勾配比は 水平距離 ÷ 立ち上がり高さ で求め、「1 : 比率」の形で表します。
たとえば立ち上がり24 inに対して水平距離288 inなら、\(288 \div 24 = 12\) となり、勾配比は 1:12 です。勾配パーセントは 立ち上がり高さ ÷ 水平距離 × 100、傾斜角度は arctan(立ち上がり高さ ÷ 水平距離) で計算します。
ADAでは立ち上がり1インチにつき最低でも水平距離1 ft(12 in)を確保することを推奨しているため、推奨水平距離は 立ち上がり高さ × 12 となります。
計算例
玄関が地面から30インチ高い位置にあるとします。1:12のルールを満たすには、\(30 \times 12 = 360\)インチ(30 ft)の水平距離が必要です。もし水平距離を240インチしか取らなかった場合、比率は \(240 \div 30 = 1:8\)、勾配は \(30 \div 240 \times 100 = 12.5\%\) となり、ADA基準には急すぎるうえ、自力で漕ぐ車椅子利用者にとって危険な勾配になってしまいます。
よくある質問
ADAに適合する勾配はどれくらいですか? 最大で1:12、すなわち勾配8.33%、角度にして約4.76°までです。
どんな単位でも使えますか? はい。立ち上がり高さと水平距離を同じ単位でそろえれば、比率・勾配・角度は単位に依存しません。ただし「ADA推奨の水平距離」の行はインチを前提に計算しています。
踊り場はどう考えればいいですか? ADAでは、水平の踊り場を設けるまでの1区間の立ち上がりを30インチまでに制限しています。長いスロープを設計する際は、あらかじめ踊り場を計画に組み込みましょう。