この計算ツールでできること
太陽系のどこにある天然ウランも、現在の同位体組成はほぼ共通しています。原子数の割合でU-235が約0.720%、U-238が約99.275%です。U-235はU-238よりもはるかに速く崩壊するため(半減期はそれぞれ7億380万年と44億6800万年)、遠い過去ほどU-235の比率は高くなっていました。この計算ツールはその関係を逆向きにたどります。天然ウランの試料がかつて持っていたU-235の原子比を入力すると、その組成だったのが何年前かを推定します。
使い方
過去のU-235存在比を原子比(0〜1の値)で入力します。単位のプルダウンをパーセントに切り替えれば、百分率で入力することもできます。初期値の0.03(3%)は、現在より濃縮度が高かった状態の代表的な例です。計算結果は、現在からさかのぼった年数を「年」と「百万年」の両方で表示します。
計算式の解説
放射性崩壊は \( N(t) = N_0 e^{-\lambda t} \) で表され、\( \lambda = \ln(2)/T_{\text{half}} \)(半減期)です。時間を過去にさかのぼると各同位体はより多く存在していたため、過去のU-235とU-238の比は \( R = R_0 e^{(\lambda_{235} - \lambda_{238}) t} \) となります。ここで \( R_0 \) は現在の比です。存在比を \( R = f/(1-f) \) で比に変換し、\( t \) について解くと
$$ t = \frac{1}{\lambda_{235} - \lambda_{238}} \ln\!\left(\frac{R}{R_0}\right) $$が得られます。\( \lambda_{235} = 9.8487 \times 10^{-10}/\text{年} \)、\( \lambda_{238} = 1.55136 \times 10^{-10}/\text{年} \) なので、その差は \( 8.29734 \times 10^{-10}/\text{年} \) です。
計算例
過去のU-235比が0.03の場合:\( R_0 = 0.0072/0.9928 = 0.0072522 \)、\( R = 0.03/0.97 = 0.0309278 \)、\( \ln(R/R_0) = \ln(4.2646) = 1.45035 \) となります。これを \( 8.29734 \times 10^{-10} \) で割ると
$$ t = 1.748 \times 10^{9} \ \text{年} $$つまり約17億4800万年前と求まります。
よくある質問
なぜU-235の比率が高いほど過去になるのですか? U-235はU-238の約6倍の速さで崩壊するため、昔にさかのぼるほどU-235が相対的に多く存在していたからです。
0.720%より小さい比を入力するとどうなりますか? 結果が負の値になり、未来の時刻を示します。これはU-235がU-238に対して今後も減り続けるためです。本ツールは過去の年代測定を目的としています。
精度はどの程度ですか? 本ツールはU-235とU-238の2核種による簡略化した閉鎖系モデルで、U-234や微量同位体は無視し、汚染がないものと仮定しています。これは元となった参照ツールの設計意図と一致しています。