ワクチン有効率(VE)とは?
ワクチン有効率(VE:Vaccine Efficacy)とは、管理された臨床試験の条件下で、ワクチンを接種した人が接種していない人と比べてどれだけ発症リスクを下げられたかを示す指標です。通常はパーセントで表され、VEが90%であれば、接種した人は接種しなかった場合に比べて発症が90%少なかったことを意味します。この計算ツールは発症者数とグループの人数という生データから算出するため、特定の国・ワクチン・疾患に縛られない汎用的な疫学ツールとして使えます。
このツールの使い方
入力するのは4つの数値です。接種群の発症者数、接種者の総数、非接種群(またはプラセボ群)の発症者数、そして非接種者の総数。ツールは各グループの発症者数を発症率に変換し、ワクチン有効率と両グループの発症率を表示します。これにより、背後にあるリスクの大きさまで確認できます。
計算式の解説
まず、各グループの発症率(attack rate)を求めます。ARV = 接種群の発症者数 ÷ 接種者総数、ARU = 非接種群の発症者数 ÷ 非接種者総数。次に、VE =(1 − ARV/ARU)× 100 で計算します。ARV/ARU の比は相対リスクを表し、これを1から引くことで、ワクチン接種によって減少したリスクの割合が得られます。
$$\text{VE} = \left(1 - \frac{\text{ARV}}{\text{ARU}}\right) \times 100\% \qquad \begin{aligned} \text{ARV} &= \frac{\text{Cases (Vac)}}{\text{Total Vac}} \\[0.4em] \text{ARU} &= \frac{\text{Cases (Unvac)}}{\text{Total Unvac}} \end{aligned}$$
計算例
たとえば、ある試験で接種者1,000人のうち30人が発症し、非接種者1,000人のうち150人が発症したとします。\(\text{ARV} = 30/1000 = 0.03\)(3%)、\(\text{ARU} = 150/1000 = 0.15\)(15%)です。
$$\text{VE} = \left(1 - \frac{0.03}{0.15}\right) \times 100 = (1 - 0.2) \times 100 = 80\%$$つまり、このワクチンは発症リスクを80%減少させたことになります。
よくある質問
VEがマイナスになるのはどういう意味? 接種群のほうが発症率が高い場合、VEはマイナスになります。これは予防効果がないことを示唆しますが、多くの場合は偶然、サンプル数の少なさ、交絡(こうらく)などが原因です。
VE(efficacy)はeffectiveness(実効性)と同じ? efficacy(有効率)は管理された臨床試験での性能を指し、effectiveness(実効性)は実社会での使用状況での効果を指します。計算式は同じですが、もとになるデータが異なります。
なぜグループの人数を入力する必要があるの? リスクは「件数」ではなく「率」だからです。人数が異なるグループ同士で発症者数だけを比べると、誤った結論を導いてしまいます。