アントワン式とは?
アントワン式は、純物質の飽和蒸気圧と温度との関係を表す、シンプルで広く使われている半経験式です。蒸気圧が温度とともに急激に(非線形に)上昇する様子を、わずか3つの係数——A・B・C——だけで表現できます。これらの係数は、物質ごとに、特定の温度範囲における実験データに合わせてフィッティングされています。
この計算ツールの使い方
まず対象物質のアントワン係数A・B・Cを入力し、続いて温度T(摂氏℃)を入力します。すると蒸気圧PがmmHg単位で算出され、さらに気圧(atm)・bar・キロパスカル(kPa)に換算して表示されます。係数が想定する単位系と入力が一致しているか必ず確認してください。初期表示の値はNISTの水の係数セットで、温度を℃で、圧力をmmHgで返すものです。
計算式の解説
式は \(\log_{10}(P) = A - B / (C + T)\) です。右辺を計算したあと、蒸気圧は $$P = 10^{\,A - \frac{B}{C + T}}$$ として求められます。係数Aは全体のスケールを決め、Bは圧力が立ち上がる急峻さを左右し、Cは温度の基準をずらしてフィッティング精度を高めます。係数セットが\(\log_{10}\)と自然対数のどちらを用いているか、また温度Tが℃かKかを必ず確認しましょう。
計算例
水について \(A = 8.07131\)、\(B = 1730.63\)、\(C = 233.426\)、\(T = 100\,℃\) の場合:\(C + T = 333.426\) となり、\(B/(C+T) = 5.19042\) です。続いて $$\log_{10}(P) = 8.07131 - 5.19042 = 2.88089$$ となり、$$P = 10^{2.88089} \approx 760.6\ \text{mmHg}$$ が得られます。これはほぼ1 atmに相当し、まさに海面(標準大気圧)における水の沸点と一致しており、期待どおりの結果です。
よくある質問(FAQ)
どの単位を使いますか? 一般的なNIST形式の係数では、Tは℃、Pの結果はmmHgで出力されます。さらに本ツールではatm・bar・kPaも表示します。
なぜ係数セットが複数あるのですか? アントワン定数は、それをフィッティングした温度範囲内でのみ有効です。そのため、物質によっては低温域用と高温域用など、複数のセットが用意されています。
ケルビン(K)は使えますか? その係数セットがケルビン用に導かれている場合に限り使用できます。単位系を混在させると誤った結果になります。