実効半減期とは
放射性物質を体内に取り込むと、同時に進行する2つの独立した過程によって減少していきます。1つ目は物理的放射壊変(崩壊)で、物理的半減期(\(T_{\text{physical}}\))で表されます。2つ目は代謝と排泄による生物学的な排出で、生物学的半減期(\(T_{\text{biological}}\))で表されます。これは体内の量が半分まで排出されるのに要する時間です。実効半減期(\(T_{\text{effective}}\))は、この2つの過程が同時に働くとき、体内の放射能が半分に減るまでの時間を指します。実効半減期は、必ず物理的半減期・生物学的半減期のどちらよりも短くなります。これは放射線防護(保健物理)における普遍的な考え方で、国を問わず成り立ちます。
計算機の使い方
プルダウンから核種を選ぶと代表的な参考値が自動入力されます。任意の値を使いたい場合は「カスタム」を選んで直接入力してください。物理的半減期と生物学的半減期を、それぞれ時間の単位(秒・分・時間・日・年)とともに入力します。出力単位を選択すると、実効半減期に加えて実効排出速度定数、さらに複数の単位に換算した値が表示されます。
計算式の解説
壊変定数と半減期の関係は \(\lambda = \frac{\ln(2)}{T}\) で表されます。2つの排出経路は互いに独立しているため、その速度定数は単純に足し合わせることができます。すなわち \(\lambda_{\text{eff}} = \lambda_{\text{physical}} + \lambda_{\text{biological}}\) です。両辺を \(\ln(2)\) で割ると、逆数の和の関係 \(\frac{1}{T_{\text{eff}}} = \frac{1}{T_{\text{phys}}} + \frac{1}{T_{\text{bio}}}\) が得られ、これを整理すると $$ T_{\text{eff}} = \frac{T_{\text{phys}} \times T_{\text{bio}}}{T_{\text{phys}} + T_{\text{bio}}} $$ となります。この式を適用する前に両方の半減期を同じ単位にそろえる必要があるため、本計算機ではまずすべてを秒に変換しています。
計算例
ヨウ素131(I-131)の物理的半減期は8.04日、生物学的半減期は138日です。 $$ T_{\text{eff}} = \frac{8.04 \times 138}{8.04 + 138} = \frac{1109.52}{146.04} = 7.60\ \text{日} $$ 予想どおり、物理的半減期8.04日よりも短い値になります。このときの実効排出定数は \(\frac{\ln(2)}{7.60} = 0.0912\)(1日あたり)です。
よくある質問
なぜ実効半減期は入力した2つの半減期より短くなるのですか? 2つの排出メカニズムが並行して働くため、いずれか一方だけのときよりも速く物質が除去されるからです。
生物学的排泄がない場合(気体や安定元素など)はどうすればよいですか? 生物学的半減期に非常に大きな値を入力してください。その項が無視できるほど小さくなり、実効半減期は物理的半減期にほぼ等しくなります。
プリセットの値はどこから来ているのですか? 代表的な参考値(例えば HyperPhysics の表など)に基づいており、出典によって多少のばらつきがあります。必要に応じていつでも値を上書きできます。