LRINEC スコアとは?
LRINEC(Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis)スコアは、Wong ら(2004年)によって開発された臨床スコアリングシステムで、壊死性筋膜炎を蜂窩織炎や膿瘍などの重症軟部組織感染症と鑑別する手助けをします。日常的に行われる6項目の血液検査の結果を組み合わせ、0〜13点の単一の数値で表します。壊死性筋膜炎は急速に進行し、生命を脅かす疾患であるため、早期発見が極めて重要です。LRINEC スコアは臨床的評価を補完する客観的な指標を提供します。
この計算ツールの使い方
患者の最新の検査値を入力してください。入力する項目は、C反応性タンパク(CRP、mg/L)、白血球数(×10⁹/L)、ヘモグロビン(g/dL)、血清ナトリウム(mmol/L)、クレアチニン(µmol/L)、血糖値(mmol/L)の6つです。各項目で異常値に対して点数を加算し、合計点とリスク区分を表示します。
計算式の解説
点数は以下のように割り当てられます。
$$\text{LRINEC} = \underbrace{\big[\text{CRP}\!\ge\!150\big]\!\cdot\!4}_{\text{C-Reactive Protein}} + f_{\text{WBC}}\!\left(\text{WBC}\right) + f_{\text{Hb}}\!\left(\text{Hb}\right) + \big[\text{Na}\!<\!135\big]\!\cdot\!2 + \big[\text{Cr}\!>\!141\big]\!\cdot\!2 + \big[\text{Glucose}\!>\!10\big]\!\cdot\!1$$ $$f_{\text{WBC}} = \begin{cases} 2 & \text{WBC} > 25 \\ 1 & 15 \le \text{WBC} \le 25 \\ 0 & \text{otherwise} \end{cases} \qquad f_{\text{Hb}} = \begin{cases} 2 & \text{Hb} < 11 \\ 1 & 11 \le \text{Hb} \le 13.5 \\ 0 & \text{otherwise} \end{cases}$$CRP ≥150 mg/L = 4点、白血球数 15〜25 = 1点・>25 = 2点、ヘモグロビン 11〜13.5 = 1点・<11 = 2点、ナトリウム <135 = 2点、クレアチニン >141 = 2点、血糖値 >10 = 1点。合計6点以上は注意が必要です。判定基準は、5点以下が低リスク(確率<50%)、6〜7点が中等度リスク(50〜75%)、8点以上が高リスク(>75%)です。
計算例
CRP 160、白血球数 16、Hb 12、Na 134、Cr 150、血糖値 11 の場合を考えてみましょう。CRP ≥150 → 4点、白血球数 15〜25 → 1点、Hb 11〜13.5 → 1点、Na <135 → 2点、Cr >141 → 2点、血糖値 >10 → 1点。合計 = $$4+1+1+2+2+1 = 11$$ 11点となり、この患者は高リスク区分に分類されます。
よくある質問(FAQ)
スコアが低ければ壊死性筋膜炎を除外できますか? いいえ。LRINEC スコアが低くても診断を否定することはできません。外科的試験開腹(観察)が依然としてゴールドスタンダードであり、臨床的な強い疑いは常にスコアに優先します。
どの単位を使えばよいですか? CRP は mg/L、白血球数は ×10⁹/L、ヘモグロビンは g/dL、ナトリウムと血糖値は mmol/L、クレアチニンは µmol/L を用います。これはオリジナルの検証研究の単位に合わせています。なお、日本では血糖値を mg/dL で表すのが一般的なため、入力時には単位の換算(\(\text{mmol/L} = \text{mg/dL} \div 18\))にご注意ください。
これは医療の代わりになりますか? いいえ。本計算ツールは教育および臨床判断の補助を目的としたものであり、必ず資格を持つ医師が全体的な臨床像とあわせて解釈する必要があります。