平衡濃度計算ツールとは?
このツールは、ICE表(Initial=初濃度、Change=変化量、Equilibrium=平衡濃度)の手法を使って、化学平衡の典型的な問題を解きます。平衡定数 Kc と初濃度 C₀ を入力すると、平衡式 \(\text{K}_c = \frac{x^{2}}{\text{C}_0 - x}\) を満たす反応の変化量 x を求めます。さらに x をもとに、反応物と生成物の平衡濃度、そして解離度(%)を算出します。
使い方
平衡定数 Kc(たとえば酢酸なら \(1.8\times10^{-5}\))と、初濃度 C₀(単位:mol/L)を入力してください。計算ツールは、変化量 x、平衡時の反応物濃度(\(\text{C}_0 - x\))、平衡時の生成物濃度(\(x\))、そして解離度(\(\frac{x}{\text{C}_0} \times 100\))を返します。近似(small-x 近似)ではなく二次方程式をそのまま解くため、解離度が大きい場合でも正確な値が得られます。
計算式の解説
HA ⇌ H⁺ + A⁻ のような反応で、初濃度 C₀(生成物はゼロ)から出発する場合、ICE表より反応物の平衡濃度は \((\text{C}_0 - x)\)、各生成物の平衡濃度は \(x\) となります。これを \(\text{K}_c = \frac{[\text{H}^+][\text{A}^-]}{[\text{HA}]}\) に代入すると次の式が得られます。
$$\text{K}_c = \frac{x^{2}}{\text{C}_0 - x}$$整理すると二次方程式 \(x^{2} + \text{K}_c\,x - \text{K}_c\,\text{C}_0 = 0\) となり、その正の解は次のとおりです。
$$x = \frac{-\text{K}_c + \sqrt{\text{K}_c^{2} + 4\,\text{K}_c\,\text{C}_0}}{2}$$
計算例
\(\text{K}_c = 1.8\times10^{-5}\)、\(\text{C}_0 = 0.10 \text{ mol/L}\) とします。このとき \(\text{K}_c^{2} + 4\,\text{K}_c\,\text{C}_0\) は次のようになります。
$$\text{K}_c^{2} + 4\,\text{K}_c\,\text{C}_0 = 3.24\times10^{-10} + 7.2\times10^{-6} \approx 7.2\times10^{-6}$$その平方根は \(\approx 2.683\times10^{-3}\) なので、
$$x = \frac{-1.8\times10^{-5} + 2.683\times10^{-3}}{2} \approx 1.333\times10^{-3} \text{ mol/L}$$です。解離度は約 1.33% となります。
よくある質問
1→2 の量論比を前提としていますか? はい。\(\frac{x^{2}}{\text{C}_0 - x}\) という式は、1つの反応物が2つの生成物単位(それぞれ濃度 x)に解離する反応に対応しており、教科書で最もよく扱われるケースです。
なぜ近似ではなく二次方程式を解くのですか? small-x 近似(\(x \approx \sqrt{\text{K}_c\,\text{C}_0}\))は、解離度が約5%を超えると成り立たなくなります。二次方程式なら常に正確です。
どの単位を使えばよいですか? モル濃度(mol/L)で統一してください。この文脈では Kc は無次元(単位を持たない)として扱います。