フープ応力とは?
フープ応力(円周方向応力とも呼ばれます)とは、円筒形の圧力容器や配管に内圧がかかったとき、その壁に円周方向へ作用する引張応力のことです。肉厚が直径に比べて十分に薄い薄肉配管(目安として D/t > 20)では、応力は壁の厚さ方向に均一に分布すると仮定でき、シンプルな式 \(\sigma = PD / 2t\) で表せます。本計算ツールは、フープ応力に加えて軸方向(長手方向)応力も同時に算出します。両端が閉じた円筒では、軸方向応力はちょうどフープ応力の半分になります。
使い方
内圧(ゲージ圧)P、内径 D、肉厚 t を入力してください。単位は必ず統一することがポイントです。圧力を MPa(N/mm²)、直径と肉厚をミリメートル(mm)で入力すれば、応力は MPa で出力されます。ツールは P·D を 2t で割ってフープ応力を、4t で割って軸方向応力を計算します。
計算式の解説
薄肉のフープ応力の式は、配管を半分に切断した断面における力のつり合いから導かれます。投影面積に作用する圧力(単位長さあたり P·D)を、切断した2か所の壁断面(2·t·σ)が支える、という関係です。これを解くと $$\sigma_h = \frac{PD}{2t}$$ が得られます。一方、軸方向応力は端部キャップに作用する圧力(\(P \cdot \pi D^2 / 4\))を、円環状の壁断面積(\(\pi D \cdot t\))が受け持つことから求まり、 $$\sigma_a = \frac{PD}{4t}$$ となります。
計算例
圧力 P = 5 MPa、内径 D = 500 mm、肉厚 t = 10 mm の配管を考えます。フープ応力 $$\frac{5 \times 500}{2 \times 10} = \frac{2500}{20} = 125 \text{ MPa}$$ 軸方向応力 $$\frac{5 \times 500}{4 \times 10} = 62.5 \text{ MPa}$$ いずれも一般的な構造用鋼の降伏強さ(約250 MPa)を十分に下回っており、安全率を考慮する前の段階で余裕のある設計だとわかります。
よくある質問
薄肉の仮定はどんなときに成り立ちますか? 一般に、直径と肉厚の比がおよそ20を超えるときに成り立ちます。肉厚が大きい場合は、ラメ(Lamé:厚肉円筒)の式を使ってください。
内径・平均径・外径のどれを使うべきですか? 古典的な式では内径を用います。ただし、肉厚がやや大きい場合は平均径を使うと、より精度の高い結果が得られます。
なぜフープ応力は軸方向応力の2倍になるのですか? 軸方向の荷重を受け持つ有効な壁断面積が、円周方向の破裂荷重を受け持つ面積よりも大きいためです。この2対1の比こそが、圧力配管が長手方向に裂けやすい理由を説明しています。