断面二次モーメントとは?
断面二次モーメント(英語では second moment of area、area moment of inertia)は、断面の材料が曲げ軸に対してどのように分布しているかを表す値です。この値が大きいほど、その断面は曲げに対して硬く(変形しにくく)なります。単位は長さの4乗(ここでは mm⁴)で、寸法だけで決まる純粋な幾何学的特性です。梁のたわみ計算や曲げ応力の計算には欠かせない基本量であり、本ツールでは最も使用頻度の高い2つの形状、すなわち中実の長方形と中実の円を扱います。中立軸(重心軸)まわりの断面二次モーメントに加えて、断面係数と断面二次半径も同時に算出します。
このツールの使い方
まず断面の形状を選びます。長方形の場合は、曲げ軸に平行な幅 \(b\) と、それに直交する高さ \(h\) を入力します。中実円の場合は直径 \(d\) を入力してください。「計算」ボタンを押すと、断面二次モーメント \(I\)、断面積 \(A\)、最外縁までの距離 \(c\)、断面係数 \(S = I/c\)、断面二次半径 \(r = \sqrt{I/A}\) が一度に求められます。寸法はすべてミリメートルで入力すると、\(I\) は mm⁴ の単位で得られます。
計算式の解説
長方形の水平な重心軸まわりの断面二次モーメントは $$I = \frac{\text{Width } b \cdot \text{Height } h^{3}}{12}$$ です。注目すべきは高さ \(h\) が3乗で効いている点で、梁のせい(高さ)を2倍にすると曲げ剛性は8倍になりますが、幅を2倍にしても2倍にしかなりません。中実円では、中心を通るどの直径まわりでも $$I = \frac{\pi \cdot \text{Diameter } d^{4}}{64}$$ となります。断面係数 \(S = I/c\)(\(c\) は最外縁までの距離)は、\(\sigma = M/S\) という関係を通じて、曲げモーメントと最大応力を直接結びつける重要な値です。
計算例
幅 50 mm、高さ 100 mm の長方形を考えます。$$I = \frac{50 \times 100^{3}}{12} = \frac{50 \times 1{,}000{,}000}{12} = \frac{50{,}000{,}000}{12} \approx 4{,}166{,}666.67 \text{ mm}^4$$ となります。断面積は \(50 \times 100 = 5{,}000 \text{ mm}^2\)、\(c = 50\) mm なので、\(S = 4{,}166{,}666.67 / 50 \approx 83{,}333.33 \text{ mm}^3\)、\(r = \sqrt{4{,}166{,}666.67 / 5{,}000} \approx 28.87 \text{ mm}\) です。
よくある質問
慣性モーメント(質量の慣性モーメント)と同じものですか? いいえ、別物です。断面二次モーメントは幾何学的な量(長さの4乗)で曲げ剛性を支配します。一方、質量の慣性モーメント(質量×長さ²)は回転運動の動力学を支配する量です。
どの軸まわりの値ですか? 重心軸(中立軸)まわりの値です。長方形では中心を通る水平軸、円ではどの直径をとっても同じ結果になります。
インチで使えますか? はい。計算式は単位に依存しません。インチで入力すれば断面二次モーメントは inch⁴ となり、他の量もそれに対応した単位になります。