この計算ツールでできること
本ツールは、2次元(2変量)標準正規分布に関係する2つの特殊関数、すなわちオーエンのT関数 \(T(h,a)\) とV関数 \(V(h,a)\) を求めます。いずれも、直線 \(y = a\cdot x\) で区切られたくさび形領域における標準正規密度の確率質量を表します。これらの関数は、歪正規分布、2変量正規確率、信頼性解析、オプション価格評価など、統計学の幅広い場面で登場します。純粋に数学的な関数であり、国や地域を問わずどこでも適用できます。
使い方
パーセント点 h(x方向の積分上限であり、標準化された引数)と、係数 a(境界直線 \(y = a\cdot x\) の傾き)を入力します。どちらも無次元の実数です。計算ボタンを押すと、\(T(h,a)\) と \(V(h,a)\) が表示されます。
計算式の解説
標準正規密度を \(\phi(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}} e^{-x^2/2}\) とすると、オーエンのT関数は次の積分で直接計算されます。$$T(h,a) = \frac{1}{2\pi}\int_{0}^{a} \frac{e^{-\frac{1}{2}h^{2}(1+t^{2})}}{1+t^{2}}\,dt$$本ツールでは、この積分を細かい分割(数千の小区間)による複合シンプソン則で評価します。被積分関数が発散しないため、計算は安定しています。V関数は、このページで用いる恒等式 \(T(h,a) + V(h,a) = \frac{\arctan(a)}{2\pi}\) から導かれ、$$V(h,a) = \frac{\arctan(a)}{2\pi} - T(h,a)$$となります(arctan はラジアン)。
計算例
\(h = 2\)、\(a = 0.6\) の場合、積分 \(\int_{0}^{0.6} \frac{e^{-2(1+t^{2})}}{1+t^{2}}\,dt \approx 0.05990\) となるため、$$T = \frac{0.05990}{6.283185} \approx 0.0095330$$です。さらに $$V = \frac{\arctan(0.6)}{2\pi} - T = \frac{0.540419}{6.283185} - 0.0095330 \approx 0.0764779$$となります。
よくある質問
T関数は h について対称ですか。 はい。T は \(h^2\) のみに依存するため、\(T(-h,a) = T(h,a)\) が成り立ちます。a が負の場合は。 T は a について奇関数で、\(T(h,-a) = -T(h,a)\) です。arctan も奇関数であるため、同様に \(V(h,-a) = -V(h,a)\) となります。a = 0 のときは。 くさび形領域が面積ゼロの直線に縮退するため、T も V もちょうど 0 になります。