この計算ツールでできること
固体中の音速計算ツールは、棒状や角材状の固体を縦波(圧縮波)の音がどれくらいの速さで伝わるかを見積もります。計算には細い棒に対する古典的な関係式 \(c = \sqrt{E/\rho}\) を用います。ここで E は材料のヤング率、ρ はその密度です。音は「硬くて軽い」材料ほど速く、「柔らかくて重い」材料ほど遅く伝わります。鋼を叩くと澄んだ高い音が響き、鉛が鈍く沈んだ音を出すのはこのためです。
使い方
ヤング率をギガパスカル(GPa)、密度をキログラム毎立方メートル(kg/m³)で入力してください。ツールはヤング率をパスカルに換算し、密度で割って平方根を取ります。結果として、音速を毎秒メートル(m/s)で表示するほか、km/h 換算値、そして空気中の音速(343 m/s)を基準としたマッハ数も同時に求められます。
計算式の解説
細い弾性棒の波動方程式から、位相速度は
$$c = \sqrt{\dfrac{\text{E (GPa)} \times 10^{9}}{\text{Density } \rho}}$$と導かれます。ヤング率 E(単位:パスカル)は「硬さ」、つまり引っ張りに対する抵抗を表し、密度 ρ は単位体積あたりの質量を表します。ヤング率が大きいほど波は速くなり、密度が大きいほど波は遅くなります。なお、この式が与えるのは細い棒(バー)での音速です。大きな固体内部を伝わるバルクの縦波では、ヤング率ではなく拘束弾性係数(constrained modulus)を用いるため、音速はこれよりわずかに速くなります。
計算例
鋼の場合、\(E \approx 200\ \text{GPa} = 2\times 10^{11}\ \text{Pa}\)、\(\rho \approx 7850\ \text{kg/m}^3\) とします。すると
$$c = \sqrt{\dfrac{2\times 10^{11}}{7850}} = \sqrt{25{,}477{,}707} \approx 5048\ \text{m/s}$$となります。これは約 18,170 km/h、空気中の音速と比べておよそマッハ 14.7 に相当します。
よくある質問(FAQ)
鋼の音速として「5960 m/s」と書かれていることがありますが、なぜこの値より遅いのですか? その数値はバルクの縦波速度で、ヤング率ではなく拘束弾性係数を使って求めたものです。このツールの細い棒の式では、バー(棒)としての音速が得られます。
単位は何を使えばよいですか? E は GPa、ρ は kg/m³ で入力してください。GPa から Pa への換算はツール内部で自動的に行われるため、結果は m/s で表示されます。
温度は影響しますか? はい。ヤング率も密度も温度によって変化します。より正確な音速を得るには、実際の使用環境に合わせた値を入力してください。