コーエンのdとは?
コーエンのd(Cohen's d)は、2群の平均値の差を「プールした標準偏差」の単位で表す、標準化された効果量の指標です。p値は「差が統計的に有意かどうか」を示すだけですが、コーエンのdは「その差が実際にどれくらい大きいのか」を教えてくれます。そのため、研究・心理学・教育・医療といった分野で、実質的な意味(実用的な重要性)を解釈するうえで欠かせない指標となっています。
この計算ツールの使い方
2つのグループそれぞれについて、平均値・標準偏差・サンプルサイズを入力してください。ツールがプールした標準偏差を算出し、平均値の差をその値で割って、コーエンのdとともに効果の大きさの目安(解釈)を表示します。
計算式の解説
分子は \(\text{M1} - \text{M2}\)、つまり2群の平均値の単純な差です。分母はプールした標準偏差で、両群の分散を自由度(\(n - 1\))で重み付けして合成したものです。この共通のばらつきで差を割ることで値が標準化され、研究間や測定尺度をまたいで比較できるようになります。
$$\begin{gathered} d = \frac{\text{M1} - \text{M2}}{s_p} \\[1.5em] \text{where}\quad s_p = \sqrt{\frac{(\text{n1}-1)\,\text{s1}^{2} + (\text{n2}-1)\,\text{s2}^{2}}{\text{n1} + \text{n2} - 2}} \end{gathered}$$コーエンが示した目安は次のとおりです。\(d \approx 0.2\) は小さい効果、\(d \approx 0.5\) は中程度、\(d \approx 0.8\) 以上は大きい効果とされます。
計算例
グループ1が \(\text{M1} = 100\)、\(\text{s1} = 15\)、\(\text{n1} = 30\)、グループ2が \(\text{M2} = 90\)、\(\text{s2} = 12\)、\(\text{n2} = 30\) だとします。プールした分散は
$$\frac{(29 \times 225) + (29 \times 144)}{58} = \frac{6525 + 4176}{58} = 184.5$$となり、プールした標準偏差は約 \(13.5830\) です。したがって
$$d = \frac{100 - 90}{13.5830} \approx 0.7363$$で、中程度から大きい効果にあたります。
よくある質問(FAQ)
dの符号には意味がありますか? 符号はどちらのグループの平均が高いかを示すだけです。効果の大きさを論じる際は、通常その絶対値を報告します。
プールした標準偏差はどんなときに使えばよいですか? プールした標準偏差は、2群の分散がほぼ等しいことを前提としています。分散が大きく異なる場合は、グラスのΔ(Glass's delta)やヘッジズのg(Hedges' g)の利用を検討しましょう。
ヘッジズのgとは何ですか? ヘッジズのgは、コーエンのdに偏り補正係数を掛けて小標本の偏りを補正した指標です。サンプルサイズが大きい場合、両者の値はほぼ一致します。