減衰比とは?
減衰比(ζ、「ゼータ」)は、機械系や電気系に外乱が加わったあと、振動がどのように減衰していくかを表す無次元数です。1自由度のばね–質量–ダンパ系では、実際の減衰係数 c を臨界減衰係数と比べることで求められます。振動解析・制御システム・構造工学のいずれにおいても、最も重要なパラメータの一つです。
この計算ツールの使い方
減衰係数 c(N·s/m)、ばね定数 k(N/m)、質量 m(kg)を入力してください。減衰比 ζ、臨界減衰係数、不減衰固有振動数を算出するとともに、その系が「不足減衰」「臨界減衰」「過減衰」のいずれであるかを判定します。
計算式の解説
減衰比は $$\zeta = \frac{c}{2\sqrt{k \cdot m}}$$ で求められます。分母の \(2\sqrt{k \cdot m}\) は臨界減衰係数 cᶜ、すなわち振動を起こさせない最小限の減衰量を表します。\(\zeta < 1\) のときは振動しながら減衰し(不足減衰)、\(\zeta = 1\) のときは振動せず最短時間で平衡位置に戻り(臨界減衰)、\(\zeta > 1\) のときは振動せずゆっくり戻ります(過減衰)。
計算例
\(c = 20 \ \text{N}\cdot\text{s/m}\)、\(k = 100 \ \text{N/m}\)、\(m = 10 \ \text{kg}\) とします。まず \(k \cdot m = 1000\) を計算し、\(\sqrt{1000} \approx 31.6228\) となるので、臨界減衰係数は $$2 \times 31.6228 \approx 63.2456 \ \text{N}\cdot\text{s/m}$$ です。減衰比は $$\zeta = \frac{20}{63.2456} \approx 0.3162$$ で、1 より小さいため、この系は不足減衰となり、振動しながら整定していきます。
よくある質問
減衰比が1のときはどういう意味ですか? その系が臨界減衰であることを意味します。オーバーシュート(行き過ぎ)を起こさず、最短時間で静止状態に戻ります。
減衰比は大きいほど良いのですか? 必ずしもそうとは限りません。減衰が大きすぎる(過減衰)と、系の動きが鈍くなってしまいます。多くの制御システムでは、素早い応答とわずかなオーバーシュートを両立させるため \(\zeta \approx 0.7\) を目標とします。
減衰比がマイナスになることはありますか? ζ がマイナスの場合、時間とともに振動が増大する不安定な系を示します。本ツールは正の物理量を前提としています。