eGFR計算ツールとは?
推算糸球体濾過量(eGFR)は、腎臓がどれくらい血液を濾過できているかを評価するうえで、最も役立つ単一の指標です。本ツールは、米国腎臓財団(NKF)と米国腎臓学会(ASN)が推奨する人種補正なしの計算式「2021年版CKD-EPIクレアチニン式」を採用しています。通常の血液検査で得られる血清クレアチニン値に年齢と性別を組み合わせ、eGFR(mL/min/1.73 m²)を推算します。人種の係数は一切使用しません。
※CKD-EPI式は主に欧米で標準とされる計算式です。日本国内では日本腎臓学会が定めた日本人向けのGFR推算式(係数0.741を用いる方式)が一般的に使われており、結果が異なる場合があります。本ツールは国際基準の式として参考にご利用ください。
使い方
まず性別を選び、患者さんの年齢(歳)を入力します。続いて血清クレアチニン値をmg/dL(米国の標準単位)で入力してください。計算ツールはeGFRと、それに対応する慢性腎臓病(CKD)のステージを返します。ステージはG1(正常、90以上)からG5(腎不全、15未満)まであります。検査結果がµmol/L表記の場合は、88.4で割ってmg/dLに換算してから入力してください。
計算式の解説
この式では、\(\kappa\)(カッパ)を男性で0.9、女性で0.7に設定し、\(\alpha\)(アルファ)を男性で-0.302、女性で-0.241とします。\(\text{Scr}/\kappa\)の比を「min」項(\(\alpha\)で累乗)と「max」項(-1.200で累乗)に分け、この2つを組み合わせることで、なめらかな2勾配の曲線を描きます。さらにこの結果に、0.9938を年齢で累乗した値を掛け、女性の場合はもう一つの係数1.012を掛けます。
$$\text{eGFR} = 142 \times \min\!\left(\tfrac{\text{Scr}}{\kappa},1\right)^{\alpha} \times \max\!\left(\tfrac{\text{Scr}}{\kappa},1\right)^{-1.200} \times 0.9938^{\,\text{Age}}$$男性の場合:
$$\begin{gathered} \text{where (male)}\quad \left\{ \begin{aligned} \text{Scr} &= \text{Creatinine (mg/dL)} \\ \kappa &= 0.9,\quad \alpha = -0.302 \end{aligned} \right. \end{gathered}$$女性の場合:
$$\text{eGFR} = 142 \times \min\!\left(\tfrac{\text{Scr}}{\kappa},1\right)^{\alpha} \times \max\!\left(\tfrac{\text{Scr}}{\kappa},1\right)^{-1.200} \times 0.9938^{\,\text{Age}} \times 1.012$$$$\begin{gathered} \text{where (female)}\quad \left\{ \begin{aligned} \text{Scr} &= \text{Creatinine (mg/dL)} \\ \kappa &= 0.7,\quad \alpha = -0.241 \end{aligned} \right. \end{gathered}$$
計算例
クレアチニン1.0 mg/dLの50歳男性の場合:比=\(1.0/0.9 = 1.111\)。\(\min(1.111,1) = 1\)なので\(\alpha\)項は1。\(\max(1.111,1)^{-1.2} = 1.111^{-1.2} \approx 0.8826\)。 $$\text{eGFR} = 142 \times 1 \times 0.8826 \times 0.9938^{50} \approx 142 \times 0.8826 \times 0.7308 \approx \mathbf{91.6}\ \text{mL/min/1.73 m}^2$$となり、ステージはG1です。
よくある質問
なぜ人種補正をしないのですか? 2021年の改訂では、すべての患者さんに対してより公平で一貫した推算を行うため、人種による補正が撤廃されました。
eGFRの正常値はどのくらいですか? 健康な成人では一般に90以上で、加齢とともに緩やかに低下します。3か月以上にわたって60を下回る場合は、CKDが疑われます。
これは診断になりますか? いいえ。eGFRはあくまで臨床判断を補助する推算値です。異常値が続く場合は、必ず医師の診察を受けてください。