プロペラスリップとは?
プロペラスリップとは、ボートのプロペラが1回転で理論上進むはずの距離(ピッチから計算した値)と、実際に進んだ距離との差のことです。水は流体であるため、プロペラが理論上の出力を100%発揮することはなく、必ず多少の「スリップ(滑り)」が生じます。スリップが起こるのは正常な現象で、適切にマッチングされた滑走型(プレーニング)艇では一般に10〜25%程度。排水型船型や積載量の多いボートでは、これより高くなることもあります。
この計算ツールの使い方
速度を計測した時点のエンジン回転数(RPM)、プロペラピッチ(インチ)、減速比(リダクション比)、そして実際のボート速度(ノット)を入力してください。本ツールはエンジン回転数を減速比で割ってプロペラシャフトの回転数を求め、そこから理論速度を算出。実速度と比較してスリップ率(%)を導き出します。
計算式の解説
理論速度(ノット)は次の式で求めます。
$$V_t = \frac{\text{ピッチ (in)} \times \dfrac{\text{RPM}}{\text{減速比}} \times 60}{12 \times 6076.12}$$
プロペラ回転数はエンジン回転数を減速比で割った値です。×60は「1分あたり」を「1時間あたり」に、÷12はインチをフィートに、÷6076.12はフィートを海里(ノーチカルマイル)に換算しています。スリップ率(%)は次のとおりです。
$$\text{スリップ \%} = \frac{V_t - \text{実速度 (kn)}}{V_t} \times 100$$
計算例
エンジンが3000RPMで回り、2:1のギアボックスを介すると、プロペラは1500RPMで回転します。19インチピッチのプロペラの場合、理論速度は
$$V_t = \frac{19 \times 1500 \times 60}{12 \times 6076.12} \approx 23.45 \text{ノット}$$
実際の艇速が22ノットであれば、スリップ率は
$$\frac{23.45 - 22}{23.45} \times 100 \approx 6.2\%$$
となります。
よくある質問
スリップ率は低いほど良いのですか? 必ずしもそうではありません。スリップ率が極端に低い場合は、プロペラがエンジンに過負荷をかけている可能性があります。逆に極端に高い場合は、プロペラが小さすぎるか、ボートが過積載であることが考えられます。ご自身の船型に推奨される範囲を目安にしましょう。
スリップ率がマイナスになるのはなぜ? マイナスのスリップ率は、たいてい入力値の誤りが原因です。多くの場合、減速比やピッチの値が間違っているか、速度の読み取りが高すぎることが考えられます。
ノットとマイル(MPH)はどちらを使う? 本ツールは海里(ノット)を基準にしています。正確な結果を得るため、実速度はノットで入力してください。