エアリー関数の数表計算ツールとは?
このツールは、2つのエアリー関数 \(\text{Ai}(x)\) と \(\text{Bi}(x)\)、さらに必要に応じてその導関数 \(\text{Ai}'(x)\)・\(\text{Bi}'(x)\) を、実数 \(x\) の指定範囲にわたって計算します。エアリー関数は、エアリーの微分方程式 \(y'' - x \cdot y = 0\) の一次独立な2つの解です。物理学のさまざまな場面に登場し、量子力学では古典的転回点付近の波動関数を表すほか、光学や漸近解析、虹の理論などにも現れます。
使い方
開始する \(x\) の値、終了する \(x\) の値、そして刻み幅を入力します。計算ツールは \(x\) の開始値から終了値まで(両端を含む)を、1つの \(x\) につき1行ずつ表にまとめます。「導関数を表示」にチェックを入れると、\(\text{Ai}'(x)\) と \(\text{Bi}'(x)\) も一覧に加わります。グラフには \(\text{Ai}(x)\) と \(\text{Bi}(x)\) を \(x\) に対して描画するので、正の \(x\) で Ai が減衰し、負の \(x\) で両関数が振動するようすが一目でわかります。
計算式
原点まわりの級数展開を使い、\(\alpha = \text{Ai}(0) = 0.3550280539\)、\(\beta = -\text{Ai}'(0) = 0.2588194038\) とおくと、次のように表せます。
$$\text{Ai}(x) = \alpha\, f(x) - \beta\, g(x), \quad \text{Bi}(x) = \sqrt{3}\,\big(\alpha\, f(x) + \beta\, g(x)\big)$$ここで \(f(x) = 1 + x^3/6 + x^6/180 + \dots\)、\(g(x) = x + x^4/12 + x^7/504 + \dots\) です。\(|x|\) がおよそ 8 を超える場合は、桁落ち誤差を避けるため、\(\zeta = (2/3)|x|^{3/2}\) を用いた漸近形に切り替えて計算します。
計算例
\(x = 0\) のとき:\(f(0)=1\)、\(g(0)=0\) なので、\(\text{Ai}(0) = \alpha = 0.3550281\)、\(\text{Bi}(0) = \sqrt{3}\cdot\alpha = 0.6149266\) となります。\(x = 1\) のとき:\(f(1) \approx 1.1722535\)、\(g(1) \approx 1.0853407\) となり、\(\text{Ai}(1) \approx 0.1352924\)、\(\text{Bi}(1) \approx 1.2074236\) が得られ、数表の値とよく一致します。
定義と用語集
- 第一種エアリー関数、\(\text{Ai}(x)\)
- \(x \to +\infty\)のときゼロに減衰するエアリー方程式の解。大きな正の\(x\)に対して、\(\dfrac{e^{-\zeta}}{2\sqrt{\pi}\,x^{1/4}}\)のように減少し、負の\(x\)に対しては波長がゆっくり増加しながら振動します。
- 第二種エアリー関数、\(\text{Bi}(x)\)
- 第二の線形独立解。\(x \to +\infty\)のとき\(\dfrac{e^{\zeta}}{\sqrt{\pi}\,x^{1/4}}\)のように増加し、エアリーと同様に\(x<0\)では振動します。
- エアリー微分方程式、\(y'' - xy = 0\)
- 原点に分岐点を持つ最も単純な二階線形常微分方程式。一般解は\(y(x) = c_1\,\text{Ai}(x) + c_2\,\text{Bi}(x)\)です。光学、量子力学(線形ポテンシャル内の粒子)、および波動問題のWKB解析に現れます。
- \(\zeta = \tfrac{2}{3}|x|^{3/2}\)
- エアリー関数の自然な位相・減衰変数。\(x>0\)の指数関数的増減と\(x<0\)の振動位相を制御し、漸近展開全体に現れます。
- 分岐点
- 方程式の振る舞いの性質が変わる\(x\)の値。\(y'' - xy = 0\)については分岐点は\(x=0\)です:\(x<0\)では解は振動的(係数\(-x\)が正)で、\(x>0\)では指数関数的(増加または減衰)です。
- 漸近展開
- \(\zeta\)(または\(x^{3/2}\))の逆べきの級数で、大きい\(|x|\)に対してAiとBiを正確に近似します。収束する必要はありませんが、原点から離れた場所では数項で優れた精度を与え、ここで公式タブの冪級数はゆっくり収束します。
- ロンスキアン
- 行列式\(W = \text{Ai}(x)\,\text{Bi}'(x) - \text{Ai}'(x)\,\text{Bi}(x)\)。ゼロでない定数ロンスキアン(ここでは\(1/\pi\))はAiとBiが線形独立であること、したがって完全な解の基底を形成することを確認します。
よくある質問
Bi(x) が発散するのはなぜ? 正の \(x\) が大きくなると \(\text{Bi}(x)\) は \(\exp(\zeta)\) のように増大し、\(x\) がおよそ 230 を超えるあたりで倍精度浮動小数点数があふれてしまいます(オーバーフロー)。上限はほどほどに抑えてください。
負の x で関数が波打つのはなぜ? \(x\) が負の無限大に向かうと、両関数とも \(|x|^{-1/4}\) に比例して振幅を減衰させながら振動します。
単位は何を使う? 単位はありません。\(x\) は純粋な実数で、出力される値も無次元量です。