コーシー分布とは
コーシー分布(ローレンツ分布、あるいはコーシー・ローレンツ分布とも呼ばれます)は、2つの母数で定まる連続型の確率分布です。1つは位置母数\(x_0\)で、これは分布の山の頂点であり中央値でもあります。もう1つは正の値をとる尺度母数\(\gamma\)で、半値半幅(最大値の半分となる点までの幅)を表します。コーシー分布は「裾が重い(ヘビーテール)」分布として知られており、正規分布とは異なり、平均も分散も定義できないという特徴があります。標準コーシー分布は\(x_0 = 0\)、\(\gamma = 1\)とした分布で、これは自由度1のt分布と一致します。本計算は純粋な数学に基づくため、国や地域を問わず同じ結果になります。
使い方
分布を評価したいパーセント点\(x\)、位置母数\(x_0\)、そして尺度母数\(\gamma\)(必ず0より大きい値)を入力してください。計算結果として、確率密度\(f(x)\)、下側累積確率\(P(X \le x)\)、上側累積確率\(P(X > x)\)が表示されます。標準コーシー分布を計算したい場合は、\(x_0 = 0\)、\(\gamma = 1\)のまま入力してください。
計算式の解説
まず標準化した値\(z = (x - x_0) / \gamma\)を求めます。確率密度は $$f(x) = \frac{1}{\pi\gamma\left(1 + z^2\right)}$$ で表され、これは $$f(x) = \frac{\gamma}{\pi\left[\left(x - x_0\right)^2 + \gamma^2\right]}$$ と等しくなります。累積分布関数は $$F(x) = 0.5 + \frac{1}{\pi}\arctan(z)$$ で、これが下側累積確率を与えます。上側累積確率は単に\(1 - F(x)\)です。arctanの値は\(\left(-\pi/2, \pi/2\right)\)の範囲に収まるため、累積確率は常に0より大きく1より小さい値になります。
計算例
\(x = 1\)、\(x_0 = 0\)、\(\gamma = 1\)とします。このとき\(z = 1\)です。確率密度は $$f(x) = \frac{1}{\pi \cdot 2} = 0.159155$$ となります。\(\arctan(1) = 0.785398\)なので、下側累積確率は $$0.5 + \frac{1}{\pi}\cdot 0.785398 = 0.75$$ 、上側累積確率は\(0.25\)となります。
よくある質問
なぜ平均や分散が表示されないのですか? コーシー分布は裾が非常に重いため、平均も分散も数学的に定義できません。したがって、これらを表示しても意味をなさないためです。
分布の頂点はどうなりますか? \(x = x_0\)のとき、確率密度は最大値\(1 / (\pi\gamma)\)をとり、下側・上側どちらの累積確率も0.5になります。
γが0または負の値だとどうなりますか? 尺度母数は必ず正の値でなければなりません。0以下の\(\gamma\)では分布が定義できないため、入力は受け付けられません。