F分布のパーセント点とは
F分布のパーセント点(逆F・分位点・棄却限界値とも呼ばれます)とは、分子自由度d1・分母自由度d2を持つF分布の累積確率が指定した値になるような x のことです。これはF分布の累積分布関数(CDF)の逆関数にあたり、分散分析(ANOVA)や回帰モデル全体の有意性検定、分散比(等分散性)の検定で、F分布表から読み取る臨界値そのものを表します。
計算機の使い方
まず累積モードを選びます。確率が \( P = \Pr(F \le x) \) で与えられる場合は 下側累積 P を選択してください。たとえば P = 0.95 とすると、分布全体の95%がその値より下に収まる x が求まります。上側の確率 \( Q = \Pr(F > x) \) を扱う場合は 上側累積 Q を選びます。たとえば Q = 0.05 なら、よく使われる上側5%の臨界値が得られます。続いて確率(0より大きく1より小さい値)、分子自由度 d1、分母自由度 d2 を入力し、計算を実行します。
計算式の解説
F分布のCDFは、正規化不完全ベータ関数 I を用いて表されます。\( a = d_1/2 \)、\( b = d_2/2 \) とし、\( w = \frac{d_1 x}{d_1 x + d_2} \) と置き換えると、 $$\text{F-CDF}(x) = I_w(a, b)$$ となります。逆関数を求めるため、この計算機は \( I_w(a, b) = \text{targetP} \) を満たす w を区間 (0, 1) 上の二分法で解きます。\( I_w \) の評価には Lanczos 近似による対数ガンマ関数と、Numerical Recipes に基づく連分数展開を用います。求めた w を $$x = \frac{d_2 w}{d_1 (1 - w)}$$ に代入して x を逆算します。上側モードの場合、目標確率は \( \text{targetP} = 1 - Q \) となります。
計算例
P = 0.95、d1 = 5、d2 = 10 の場合、上側5%のF臨界値を求めます。\( a = 2.5 \)、\( b = 5 \) として \( I_w(2.5, 5) = 0.95 \) を逆算すると \( w \approx 0.6245 \) となり、 $$x = \frac{10 \times 0.6245}{5 \times 0.3755} \approx 3.3258$$ が得られます。これは表に載っている \( F_{0.05}(5, 10) = 3.3258 \) と一致します。
よくある質問
P と Q の違いは何ですか? P は x までの下側(累積)確率、Q は x を超える上側確率です。両者には \( P = 1 - Q \) の関係があります。
なぜ確率は0より大きく1より小さくなければならないのですか? 確率0は分位点 x = 0 に、確率1は x → 無限大に対応し、いずれも有限で意味のある臨界値にはならないためです。
自由度は整数でなくてもよいですか? はい。計算式は正の実数 d1・d2 すべてに対して成り立ちます。ただし分散分析(ANOVA)では通常、整数を用います。