サイクリングのパワーゾーンとは?
パワーゾーンとは、トレーニング強度をFTP(Functional Threshold Power:機能的作業閾値パワー=およそ1時間維持できる最大平均パワー)に対する割合で区切ったものです。パワーゾーンを基準に練習すれば、「なんとなくキツい」という感覚に頼らず、脂肪燃焼・持久力の維持・乳酸閾値・VO₂maxといった狙った身体適応をピンポイントで鍛えられます。この計算機は、広く使われているアンドリュー・コーガン(Andrew Coggan)の7ゾーンモデルを採用しています。
この計算機の使い方
現在のFTPをワット数で入力するだけで、7つすべてのゾーンのワット数範囲が即座に表示されます。FTPがわからない場合は、ベストな20分間平均パワーのおよそ95%を目安に推定するか、専用のFTPテストを実施しましょう。フィットネスが向上すると各ゾーンの数値も上がっていくため、4〜6週間ごとに再テストして数値を更新するのがおすすめです。
計算式の解説
各ゾーンの境界値は、FTPに割合を掛けるだけのシンプルな計算です。
$$\text{Zone Bound} = \text{FTP (W)} \times \%_{\text{FTP}}$$
コーガンモデルでは境界を次のように定義します:
$$\begin{aligned} \text{Z1 (Recovery)} &= \le 0.55 \times \text{FTP} \\ \text{Z2 (Endurance)} &= 0.56 - 0.75 \times \text{FTP} \\ \text{Z3 (Tempo)} &= 0.76 - 0.90 \times \text{FTP} \\ \text{Z4 (Threshold)} &= 0.91 - 1.05 \times \text{FTP} \\ \text{Z5 (VO}_2\text{max)} &= 1.06 - 1.20 \times \text{FTP} \\ \text{Z6 (Anaerobic)} &= 1.21 - 1.50 \times \text{FTP} \\ \text{Z7 (Neuromuscular)} &= > 1.50 \times \text{FTP} \end{aligned}$$
Z1 \(\le\)55%、Z2 56〜75%、Z3 76〜90%、Z4 91〜105%、Z5 106〜120%、Z6 121〜150%、Z7 >150%(神経筋系のスプリント)。
計算例
たとえばFTPが250Wの場合を考えてみましょう。ゾーン2(耐久)は \(250 \times 0.56 = 140\,\text{W}\) から \(250 \times 0.75 = 188\,\text{W}\) まで。ゾーン4(閾値)は \(250 \times 0.91 = 228\,\text{W}\) から \(250 \times 1.05 = 263\,\text{W}\) までです。つまり、一定ペースの耐久ライドでは140〜188W前後を維持し、閾値インターバルではおよそ228〜263Wまで追い込む、という目安になります。
よくある質問
このゾーンは心拍数にも使えますか? いいえ。これはパワー(ワット)ゾーンです。心拍ゾーンは閾値心拍(LTHR)に対する別の割合を使い、しかも心拍は運動強度に対して遅れて反応します。
なぜZ4は100%を超えるのですか? FTPは閾値帯のほぼ中央付近に設定されているため、閾値ゾーンはその前後(91〜105%)にまたがります。短時間の閾値走では一時的にFTPを超えることもあります。
FTPはどのくらいの頻度で更新すべきですか? ゾーンの精度を保つために、4〜6週間ごと、またはフィットネスに明らかな変化があったタイミングで更新しましょう。