宇宙への脱出速度の計算とは
このツールは、ニュートンの万有引力の法則にもとづいて2つの脱出速度を求めます。1つ目は表面からの脱出速度。これは天体の表面で、その重力を振り切って飛び出すために最低限必要な速度です。2つ目は太陽系からの脱出速度。これは、ある天体の公転軌道の位置から(太陽に対して)太陽系の外へ脱出するのに必要な速度です。プリセット(太陽から海王星まで、さらに月や小惑星イトカワ・ケレス)を選ぶと物理量が自動で入力されます。任意の数値を入力することもできます。これは純粋な物理計算で、どの天体にも普遍的に適用できます。
使い方
プルダウンから天体を選びます。質量 M(kg)、半径 r(km)、軌道長半径 R(AU)、中心天体の質量 Mc(kg)が自動で入力されます。各項目は自由に編集できます。万有引力定数 G は CODATA 値の 6.67430e-11 が初期値で、変更も可能です。計算ボタンを押すと、2つの脱出速度が m/s と km/s で表示されます。
計算式の解説
力学的エネルギーの総和をゼロとおくと \(\frac{1}{2}v^2 = \dfrac{\text{G}\text{M}}{d}\) となり、\(v = \sqrt{\dfrac{2\,\text{G}\,\text{M}}{d}}\) が得られます。
$$v_{esc} = \sqrt{\dfrac{2\,\text{G}\,\text{M}}{1000\cdot\text{r (km)}}}$$表面脱出の場合、\(d\) は天体の半径をメートルに換算した値(\(\text{r}\times 1000\))です。太陽系脱出の場合、M は中心天体の質量 Mc に置き換わり、\(d\) は軌道距離をメートルに換算した値(1 AU = \(1.495978707\times 10^{11}\) m として \(\text{R}\times 1.495978707\times 10^{11}\))になります。
$$v_{solar} = \sqrt{\dfrac{2\,\text{G}\,\text{M}_c}{1.495978707\times 10^{11}\cdot\text{R (AU)}}}$$
計算例:地球
M = 5.97237e24 kg、r = 6371 km とすると、表面からの脱出速度は
$$\sqrt{\dfrac{2\times 6.67430\times 10^{-11}\times 5.97237\times 10^{24}}{6.371\times 10^{6}}} \approx 11186 \text{ m/s} \approx 11.19 \text{ km/s}$$となります。地球の軌道(R = 1 AU、Mc = 1.9885e30 kg)では、太陽系からの脱出速度は
$$\sqrt{\dfrac{2\times 6.67430\times 10^{-11}\times 1.9885\times 10^{30}}{1.495978707\times 10^{11}}} \approx 42123 \text{ m/s} \approx 42.1 \text{ km/s}$$です。
よくある質問
なぜ太陽の太陽系脱出速度は「該当なし」になるのですか? 太陽は他の天体を公転していないため軌道半径がゼロとなり、この計算は定義できません。
脱出速度は打ち上げる方向によって変わりますか? いいえ。脱出速度はエネルギー保存則から導かれるため、関係するのは速さだけで方向は問いません(大気や自転の影響は無視した場合)。
なぜ太陽系からの脱出速度は地球表面からの脱出速度よりずっと大きいのですか? 太陽は地球よりはるかに質量が大きいため、1 AU の距離にあっても、その重力の井戸から抜け出すにははるかに大きな速度が必要になるからです。