二項分布の正規近似とは?
二項分布の試行回数が多くなると、正確な二項確率をひとつずつ計算するのは非常に手間がかかります。そこで役立つのが正規近似です。これは、離散的な二項分布を、同じ平均と分散をもつ連続的な正規分布で置き換える方法です。パラメータ \(n\) と \(p\) をもつ二項確率変数 \(X\) の平均は \(\mu = np\)、標準偏差は \(\sigma = \sqrt{np(1-p)}\) となります。この \(X\) を正規分布 \(N(\mu, \sigma^2)\) とみなすことで、累積確率を手軽に推定できます。
この計算ツールの使い方
まず試行回数 n を入力し、各試行における成功確率 p(0〜1 の値)を指定します。次に確率の種類(≤、<、≥、>、= のいずれか)を選び、値 x を入力してください。すると、\(\mu\)、\(\sigma\)、連続性を補正した \(z\) 値、そして近似確率が表示されます。この近似は、\(np \ge 5\) かつ \(n(1-p) \ge 5\) を満たすときに信頼できる結果となります。
連続性の補正について
二項分布は離散的であるのに対し、正規分布は連続的です。このずれを埋めるために、境界を 0.5 だけ広げたり縮めたりします。これが「連続性の補正」です。たとえば \(P(X \le x)\) では \(x + 0.5\) を、\(P(X \ge x)\) では \(x - 0.5\) を用い、\(P(X = x)\) では \(x - 0.5\) から \(x + 0.5\) までの範囲をとります。補正後の境界はそれぞれ $$z = \frac{(x \pm 0.5) - \mu}{\sigma}$$ によって \(z\) 値に変換し、標準正規分布の累積分布関数(CDF)で評価します。
計算例
\(n = 20\)、\(p = 0.5\) として、\(P(X \le 12)\) を求めてみましょう。まず \(\mu = 20 \times 0.5 = 10\)、\(\sigma = \sqrt{20 \times 0.5 \times 0.5} = \sqrt{5} \approx 2.2361\) となります。連続性の補正を行うと、$$z = \frac{12.5 - 10}{2.2361} \approx 1.118$$ です。標準正規分布の CDF より \(\Phi(1.118) \approx 0.868\) となるので、\(P(X \le 12) \approx 0.868\) が得られます。これは正確な二項確率の値とほぼ一致します。
よくある質問(FAQ)
この近似はいつ使えますか? 一般的な目安は \(np \ge 5\) かつ \(n(1-p) \ge 5\) です。\(p\) が 0.5 から大きく離れている場合は、より大きな \(n\) が必要になることがあります。
なぜ ±0.5 なのですか? 0.5 の連続性の補正は、離散的な棒(バー)をなめらかな曲線で近似する際の誤差を補い、精度を高めるためのものです。
正確な確率が得られますか? いいえ、あくまで近似値です。正確な値が必要な場合、特に \(n\) が小さいときは、二項確率の計算ツールを使うことをおすすめします。